欧州の重要な地球観測衛星が、緊迫のニアミスを経験した。フランスに本部を置く欧州宇宙機関(ESA)は現地時間5月18日、「Sentinel-1A」と呼ばれる衛星がスペースデブリ(宇宙ごみ)をすんでのところでかわした状況を、一連のツイートで詳しく説明した。ESAは、2021年にロシアが行ったミサイルテストが、使われなくなった人工衛星「Cosmos」を破壊し、その破片を軌道上に散乱させたとして非難している。
5月16日、Sentinel-1AはESAの言う「きわめて危険な衝突」を回避するために一連の緊急回避動作を行った。
On Monday, for the first time, we performed a set of manoeuvres to avoid a high-risk collision w. #SpaceDebris created in the #Cosmos1408 anti-satellite test last year.
— ESA Operations (@esaoperations) May 18, 2022
This was a difficult #CollisionAvoidance manoeuvre.to our #Sentinel1A Control Team & Space Debris Office pic.twitter.com/dl5OnTAlON
Sentinel-1Aは、ESAの地球監視プログラム「Copernicus(コペルニクス)」の一翼を担う衛星で、原油流出の検知と追跡、海氷のマッピング、地表の変化の監視、それに自然災害への対応に役立つデータを提供している。
この衛星が軌道を変更したのは、直径数cmのデブリの破片1つを避けるためだった。ごく小さな破片でも、その衝撃は衛星に損傷を与える可能性がある。そこでESAは、Sentinel-1Aの軌道を140mずらした。「(破壊される前の)人工衛星CosmosはSentinel-1より200km以上低い軌道を周回していたが、爆発時に放出されたエネルギーによって破片がはるか上まで押し上げられ、われわれの軌道を横切るようになった」とESAは記している。チームはわずか数時間のうちに、軌道変更動作を計画して実行したという。
Sentinel-1Aは今のところ安全だが、ESAは「スペースデブリの(意図的な)生成が宇宙環境全体にもたらす壊滅的なリスク」に警告を発している。ロシアが前述のミサイルテストを実施した際、米国はその行為を無謀だと評していた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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