世界中のファクトチェック機関がYouTubeに対し、誤情報対策の強化を求めている。
非営利のジャーナリズム研究機関Poynter Instituteが米国時間1月12日に公開した書簡の中で、80を超えるファクトチェック機関が、ここ数年でYouTubeを利用して世界中で拡散された陰謀論と偽情報について指摘し、YouTubeの最高経営責任者(CEO)Susan Wojcicki氏に対策を求めている。
YouTubeは悪質なユーザーによって「兵器化」されており、現在の対策では不十分だとして、書簡には「そのため、誤情報と偽情報への有効な措置を講じること、情報エコシステムを改善するためのポリシーと製品介入のロードマップを詳細に示すこと、また、世界の独立した公平な立場のファクトチェック機関とともにそれを実施することを要請する」と書かれている。
YouTubeの広報担当者は、「ファクトチェックは、視聴者が情報に基づいて自ら判断できるよう支援する非常に重要な手段だが、偽情報の拡散に対処するためのはるかに大きなパズルのピースの1つだ」と述べた。
広報担当者は、「われわれは長年、運営するすべての国で、ポリシーや製品に投資して、人々と信頼できるコンテンツをつなぎ、限りなく偽情報に近いものの拡散を減少させ、暴力的な動画を削除してきた」とし、YouTubeにおけるすべてのビューの1%未満が限りなく偽情報に近いコンテンツや規則に違反するコンテンツで、のちに削除されていると述べた。さらに、「われわれはいつも、改善するための有意義な手段を検討しており、今後もファクトチェックコミュニティとともに当社の取り組みを強化していく」とコメントした。
YouTubeの月間訪問者数は20億人を超えるが、同社は一定の時間内にどれだけの視聴回数が生成されるかを公表しておらず、問題のあるコンテンツの割合を全体像の中で捉えることは難しい。
YouTubeは、Facebook、Twitter、Redditなど、ユーザーが独自のコンテンツを投稿できるプラットフォームを提供する多くのインターネット企業と同様に、表現の自由と、悪質なコンテンツに対する有効な取り締まりのバランスを、どのように取るかという問題に取り組んでいる。YouTubeはここ数年、偽情報や陰謀論、差別、憎悪、ハラスメント、児童虐待と搾取、恐ろしい暴力犯罪などの問題に、かつてないほどの世界的な規模で対処してきた。
YouTubeは、ポリシーと実施慣行を修正し、プラットフォーム上の危険なコンテンツに適応しようとしている。これまでに、ワクチン偽情報禁止の対象範囲を拡大したほか、QAnonなどのコンテンツに対するポリシーを強化した。また、コロナ関連の偽情報を含む動画を100万件以上削除したことも明らかにした。それでも、YouTubeのコンテンツモデレーションは不十分であることがあまりにも多いと批判されている。
公開書簡には、頻繁に偽情報とみなされるコンテンツを生み出す違反者への措置を強化することや、英語以外の言語の偽情報と誤情報への取り組みの拡大、独立系ファクトチェック機関とのさらなる連携などが提案されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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