「Pixel 6 Pro」はGoogleが提供する最高のスマートフォンだ。だが、すべての人にとって最高というわけではない。また、Appleやサムスンの製品を含む市場における最高のスマートフォンでもない。今後のソフトウェアアップデートで解決されそうな問題もあれば、ハードウェア関連で改善の見込みのない問題もあるので、購入する前にその問題が自分にとって重要かどうかを見極める必要がある。
私はPixel 6 Proを予約注文し、数週間前に受け取った。返品可能期限は明日で、既に梱包してGoogleに送り返せるようにしてある。私がメインで使っているスマートフォンはサムスンの「Galaxy Z Fold 3」だ。T-Mobileと契約しているこのメイン機をPixel 6 Proに替えるつもりは元々なかったが、MVNOサービス「Google Fi」用のメイン機として使えると考えた。だが、がっかりさせられる多くの点を考慮すると、2台目のスマートフォンとして持つには899ドル(日本では税込11万6600円)は高すぎた。
最近のスマートフォンの主な注目機能はカメラ性能ということになっているが、重要なのはカメラ性能だけではない。「Pixel 5a(5G)」がブラックフライデーセールで50ドル引きになるなら、カメラ性能も高いので、これをPixel 6 Proの代わりにGoogle Fi用に買おうかと真剣に検討している。
私がPixel 6 Proを返品する主な理由をここで紹介しておこう。その中のいくつかの問題は今後のソフトウェアアップデートで改善されるだろうが、それを確認するために金を使うことはないだろう。
昨日、Pixel 6 Proを持って船に乗り、9時間にわたって写真を撮影し、「Teams」で通話し、メールやテキストメッセージを送受信し、その他いろいろな操作をした。仕事を終えて船を降りるころには、バッテリー残量は24%になっていた。私はレンタカーのチャージャーにPxel 6 Proを接続し、40分運転してホテルに戻った。その時点でバッテリー残量は38%までしか増えておらず、その後ホテルで85%まで増やすのに1時間以上かかった。これほど充電に時間がかかるスマートフォンにお目にかかるのは久しぶりだ。2021年にもなってバッテリーが持つかどうかの心配をしたくはない。
Pixel 6 Proに搭載されているバッテリーは5003mAhなので、少なくともディスプレイを6時間点灯させても1日は難なく持続すると期待していた。ところが、私のPixel 6 Proは4、5時間使っただけで、1日の終わりにはバッテリー残量が非常に少なくなっていた。充電速度の遅さもあり、これでは私向きのスマートフォンとはいえない。
仕事で移動や旅行に長時間費やす私にとって、ネット接続性能は重要だ。サムスンとOnePlusのデバイスはセルラー受信性能が高いように感じられるので、私はこれらのデバイスを使うことが多い。Pixel 6 ProをZ Fold 3と併用したところ、後者の接続が維持している間、前者では接続が切れたり遅れたりした。接続が切れる前に接続先が3Gに落ちることもあった。私のZ Fold 3を含む他の2021年発売のデバイスの多くはQualcommの新しいモデム「Snapdragon X60」を搭載しているが、Googleは先代の「Snapdragon X55」相当のモデムを採用していると私は考えている。
私はディスプレイ保護フィルムを貼っていないが、ディスプレイ内指紋センサーの反応はあまりよくなく、読み取り成功率は約40%だ。私はZ Fold 3の側面に設置された指紋センサーが気に入っていて、以前のPixelシリーズの背面にある指紋センサーも毎回認証に成功するので好きだ。Pixel 6 Proには顔認証によるロック解除のオプションもないので、ロック解除のたびにいらいらした。
私は音楽を聴いたり映画を見たりするときはヘッドホンを使うことが多いが、通話のときはスピーカーから音を出すのが好きだ。Pixel 6 Proはステレオスピーカー搭載だが、上部スピーカー(ディスプレイに組み込まれているイヤピーススピーカー)が非常に弱いので、スピーカー体験は平均的なものだ。スピーカーに関してはAppleとサムスンが秀でており、1000ドル近くもするならPixel 6 Proもそれらと競えるべきだ。
なぜかSpotifyで前回一時停止した音楽がランダムに再生される。他のデバイスで使っている同じバージョンのSpotifyアプリではこんなことはないので、アプリの問題ではないと思う。就寝中や打ち合わせ中に大音量でAC/DC(豪ロックバンド)の曲が流れるのは楽しい体験とは言えない。この問題はソフトウェアアップデートで修正可能かもしれない。
私のZ Fold 3とPixel 6 Proを同じWi-Fiに接続して並べて同時に高速スクロールしてみたところ、Z Fold 3の方がスクロールがなめらかだった。Pixel 6 Proを使い始めたとき、なんとなく違うと感じたが、2台を並べてスクロールしてみたところ、Pixel 6 Proが(仕様通り)120Hzのリフレッシュレートで動作するのを何かが妨げているように思えた。
Pixel 6 Proはケースに入れないと、どんな表面からもほぼ確実に滑り落ち、手で持っていても滑る。とても滑りやすいスマートフォンで、マット仕上げのオプションはない。また、非常に大きい。「Pixel 6」ですら多くの人にとっては大きすぎる。私はエッジがカーブしているデバイスとは縁を切り、Z Fold 3のフラットなディスプレイに慣れていた。結局、私はPixel 6 Proのデザインが好きではないのだ。
Pixel 6 Proのカメラ性能を確かめる目的で、複数のスマートフォンでかなりの枚数の写真を撮影したところ、(画像の好みはかなり主観的なものではあるが)他のスマートフォンより概ね良かった。だが、中には期待したほどには撮れていない写真もあった。私は旅行中、家族に美味しそうな食事を見せるために食べ物の写真を撮るのだが、何枚かはピントが合っていなかった。接写があまりうまくいかなかった。それに、他の問題点を受け入れるほどにはカメラ性能に感銘を受けなかった。
スマートフォンに求めるものは人によって違うし、私にとっての問題はあなたにとってはどうでもいいことかもしれない。私の挙げた問題の中には単なる仕様もあるし、カメラ性能とGoogleによる長期的な更新というメリットが十分なトレードオフだと考える人もいるだろう。
GoogleがPixel 6シリーズの予約受け付けを開始した際、妻のために「Sorta Seaform」カラーのPixel 6を購入した。妻はサムスンの「Galaxy S20 Ultra」を使っており、Pixel 6のカメラ性能を気に入って乗り換えるだろうと思ったのだ。だが、妻は2日間使っただけでPixel 6を私に返し、返品してS20 Ultraを返してくれと言った。妻にとっての主な問題は、反応が遅すぎ、携帯電話回線の接続がサムスンほど良くなく、あまりにもすべりやすい、というものだった。妻がGoogleアプリの便利さにあまりにも無関心なことには、かなり驚いた。
皆さんは、私のPixel 6 Proに関するこれらの感想が、Galaxy Z Fold 3への盲目の愛によるものだと思うだろうか。同じような問題を感じた人はいるだろうか。ここに挙げたもの以外に、Pixel 6 Proの購入をやめたり、返品したりしようと思った問題はあるだろうか。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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