バニッシュ・スタンダードは9月14日、店舗でのオンライン接客を支援するDXツール「STAFF START(スタッフスタート)」の海外展開を発表した。あわせて同日より、腕時計「G-SHOCK」で知られるカシオ計算機の台湾法人向けに提供を開始したことを明らかにした。
今回の台湾での導入は、カシオ計算機の台湾ECサイトや現地スタッフに向けたもの。台湾の「G-SHOCK STORE」の店舗スタッフによる、STAFF STARTを利用したオンライン接客も実施する。
STAFF STARTは、店舗に所属するスタッフが、自社のECサイトやソーシャルメディアなどを活用してオンライン接客できるサービス。コスメや雑貨、インテリア業界のほか、ヘアサロンでの導入実績もあり、多彩な業種で導入可能という。
このサービスを利用することで、新型コロナウイルスの感染拡大による実店舗への来客数減少や、自社のEC事業拡大による来客数の減少、それに伴う店舗人員削減などの課題を解決しうると説明する。
従来、店舗の来店客はその周辺に住んでいる人など、立地によってある程度制約が生まれていたが、オンラインであれば制約を受けない。また、スタッフが来客のない空き時間を有効活用し、ECサイトやソーシャルメディアなどに投稿することで購買につながるメリットもあるという。
実店舗の接客では可視化しにくい「売上への個人関与」だが、STAFF STARTではこれをデータ化して個人の評価とすることで、従業員の成功体験を創出する。個人の評価を可視化することで、給与の向上などにもつながる可能性がある。
実例として、カシオ計算機は2021年7月よりSTAFF STARTを日本で導入しており、G-SHOCK STOREのスタッフによるファッションコーディネートや機能紹介などをウェブサイト「G-SNAP」で展開している。導入から1カ月半で、G-SNAP経由の商品購入コンバージョン率はサイト閲覧比で3.8倍、売上シェアは全体比の22%と大きな実績を残しているとのこと。
カシオ計算機デジタル統轄部長の石附(いしづき)洋徳氏は、前述の日本での導入例を紹介し、「ECサイトだとG-SHOCKの利用方法や作り手のこだわりといった魅力が伝わりにくいという課題があったが、導入から1カ月半で大きな成果があがっている。店舗スタッフのモチベーションの維持にもつながっており、ECでも自分が売り上げている気持ちになるという声もある」と評価した。
今回、台湾での展開について同氏は、カシオの総売上のうち、海外売上比率が7割を超えている現状を紹介し、「グローバルでDXを推進していく仕組み」の構築が課題として存在すると述べた。なかでも台湾は同社にとって重要な地域と位置づけており、店舗が多数存在し、顧客と店員のやりとりができている国という点も加味して導入を決めたという。
台湾では、先行導入していた日本同様に、公式サイトでG-SNAPを展開する。店舗スタッフの利用する管理画面やサイトのコンテンツは中国語(繁体字)で表示する。台湾はEC利用率が80.5%と非常に高く、今後もオンラインでの販売強化がより重要になるという。
今回のSTAFF STARTの台湾進出について、バニッシュ・スタンダード代表取締役の小野里寧晃氏は「台湾は日本の文化を受け入れてくれるイメージがある。ちょうど(バニッシュ・スタンダードでも)台湾で最初に展開しようと思っていた」とコメント。同氏は海外法人の設立についても「予定はしている。何らかの形で(拠点などを)作れれば」と答えた。
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