TwitterのプロダクトマネージャーであるJeremy Browning氏は米国時間5月20日、同社がライブオーディオチャット用に開発した新機能の舞台裏を公開した。だが、同氏の言っていることを誰もが理解できたわけではなかった。
Browning氏は然るべくして、それをTwitterの新しいライブオーディオ機能「スペース」で配信した。このオーディオチャットツールには、聴覚障害者や難聴者を支援するライブキャプション機能が搭載されている。キャプションだけを頼りにBrowning氏の話を目で追おうとしていたTwitterユーザーは、おそらく同氏の発言のキャプションを解読するのに苦労したはずだ。
Twitterのスペース機能でBrowning氏が話した言葉に対して、次のようなライブキャプションが付けられた。「私はある意味で雇用されているおかげで、戦争、水の大衆がポップクイズのわずかな割合になる前に、Twitterはあなたのスペースを見ることができた」。実際には、Browning氏はリスナーに対して、自身がTwitterの従業員であるため、少数の一般の人々よりも先に新しいスペース機能を確認することができたと語っていた。
「Global Accessibility Awareness Day」と同日に行われたBrowning氏の配信では、話の中盤で他の問題も発生した。リスナーはBrowning氏の言葉が聞こえなくなり、何百人ものTwitterユーザーは、会話から完全に取り残された人の気分を味わうことになったのだ。
Facebookを含むソーシャルメディア企業各社は、スタートアップの「Clubhouse」が突如として現れ、話題をさらったことを受けて、ライブオーディオを採用するようになった。Teslaの最高経営責任者(CEO)のElon Musk氏やテレビ番組の人気司会者Oprah Winfreyさん、俳優のKevin Hartさんなど、さまざまな有名人が招待制のClubhouseに参加している。ClubhouseとTwitterはどちらも自社製品のアクセシビリティーを向上する方法に取り組んでいるが、問題が発生したTwitterのオーディオチャットは、こうした機能が登場しても、何億人もの聴覚障害者が依然としてオンラインの会話から締め出されていることを痛感させる。
世界保健機関(WHO)によると、世界人口の5%以上に相当する約4億3000万人が日常生活に支障をきたす程度の聴覚障害のリハビリテーションを必要としており、そうした人々の大多数は低所得国や中所得国に住んでいるという。2050年までに、日常生活に支障をきたす程度の聴覚障害者の割合は約10人に1人になると予測されている。
一方で、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの間に、音声ベースのサービスの利用が増加している。世界最大のソーシャルネットワークであるFacebookは、ClubhouseやTwitterスペースに対抗するサービスの開発に取り組んでいる。また、ショート動画や仮想現実(VR)のさまざまなことが試されており、未来のソーシャルメディアでは、音声を利用した機能が増える可能性が高い。
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