Googleとサムスンの提携は、電子機器パートナー各社がWear OS搭載スマートウォッチを再び作る門戸を開くようにも思える。「デバイスメーカー各社がウェアラブルの世界に最先端のハードウェアおよびソフトウェア体験を持ち込む、総合的なAndroidエコシステムが成立するだろう。ちょうど、Androidがスマートフォンの世界に果たしたのと同じ役割だ」、とKilburn氏。かつてWear OSの世界で活発だったAndroidスマートフォンの他のOEMメーカーが、これを機に戻ってくることも考えられる。
ただし、新しいWear OS搭載スマートウォッチで採用されるチップセットについてKilburn氏は断定せず、こう述べるにとどまった。「われわれは、ウェアラブルに最新のチップセットを使うことに全力をあげている。だが、実際に採用するチップセットをめぐる諸々の選択は、OEM各社の選択次第だ」。また、Wear OS搭載スマートウォッチのすべてが、次世代のプレミアム機能とソフトウェアに移行するとも限らない。「既存のデバイスがアップグレードされるかどうかは、いくつかの要素に応じて変わってくる。ハードウェア自体がアップグレードに対応しうるかどうかにもよるし、そもそもOEMがアップグレードすることを選ぶかどうかによっても異なる」(Kilburn氏)
今後登場するサムスンのGalaxyスマートウォッチはすべて、Googleの新しいWear OSを搭載することになる。何カ月も前から流れていたうわさが裏付けられた形だ。アプリには「Google Play」ストアを利用することになり、サムスンのアプリも新しいOSに移行する。Googleによると、サムスンの文字盤作成ツールが新しいWear OSに取り込まれるという。一方のサムスンは、「『Galaxy Store』で公開されている一部のアプリとサービスは、新たに統合されるプラットフォームではGoogle Playストアから利用できるようになる」としている。
サムスンによると、Wear OSを搭載する次期Galaxyスマートウォッチでは、回転ベゼルのデザインが踏襲され、バッテリー持続時間が延びて、ヘルスおよびフィットネスの追跡精度が向上するという。「今後の『Galaxy Watch』端末は、共同開発された新しい統合プラットフォームをベースにする。ただし、それだけではなく、これまでのGalaxyスマートウォッチで消費者から好評だった、優れた操作性はそのまま継続する。回転ベゼルのユーザーエクスペリエンスもそのひとつだ」。サムスンは米CNETにこう述べている。
一方、サムスンの現行のGalaxyスマートウォッチ、例えば最近の「Galaxy Watch3」などは、Googleベースの新しいソフトウェアに対応しない。「現行のGalaxyスマートウォッチでは、新しい統合プラットフォームへのアップデートに対応できない」ことを、同社は認めた。サムスンの現行のスマートウォッチは、最大3年間ソフトウェアサポートを受けられるが、新しいWear OSの対象にはならない。
つまり、サムスンの「S Health」アプリも存続の道を断たれたということで、サムスンはS Healthのデータを「Google Fit」アプリにエクスポートできるようにする予定だ。「愛用されてきたサムスンのサービス、例えば『Samsung Health』などは、今後もGalaxyの体験の中心であり続け、Galaxyスマートウォッチで引き続き利用できる。Samsung Healthサービスを愛用してきたユーザーには、新しい統合プラットフォームでもこのサービスを継続し、データは統合プラットフォームにエクスポートすることもできる。Samsung Healthは、新しいプラットフォームの一部ではないというだけだ」。サムスンは、メールでこう回答した。
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