続いて紹介されたのは、管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」や料理を中心にした暮らしの知恵と学び、大切な心がけを発信するメディア「くらしのきほん」を提供するおいしい健康だ。
「誰もがいつまでもおいしく食べられる世界を目指し、食と健康のビッグデータによって薬を超える新しい医療をつくる。好きなものを食べながら健康に。年を取っても病気になっても、いつまでも、笑顔でいられる。ビッグデータと多数の臨床研究を通じて、ブラックボックスであった食生活を可視化・個別化し、予防と医療の力にする。人生100年時代における新しい食と医療を一緒につくろう」(おいしい健康 代表取締役CEOの野尻哲也氏)
続いて、スタートアップとの共創を進めるパートナー企業とのパネルディスカッションも行われた。
大塚食品 新規事業企画部 部長の嶋裕之氏は同社の植物性代替肉「ZEROMEAT(ゼロミート)」を使った「ブッダボウル」とともに登壇した。
「ゼロミートはハンバーグを顕微鏡で観察したり、味や香りを分析してリバースエンジニアリングしたりしたものを、テクノロジーによって大豆ミートで再現している。そこにミシュランシェフの技が入り、おいしいものになっている。これからいろいろなものがハンバーグによって広がるのではないかと思っている」(嶋氏)
嶋氏の注目スタートアップは「New Age Meats(ニューエイジミーツ)」だと語った。
「日本でも代替肉や培養肉をやっている会社はあるが、これは培養肉プラス大豆ミートというハイブリッドだ。そのほか鶏肉だけに特化したNext Gen Foodsなど、振れ幅や独創性が非常に刺激になる」(嶋氏)
フジッコ 上席執行役員 開発本部長の丸山健太郎氏は、同社が開発した「ダイズライス」とともに登壇した。
「見た目はまるでお米だが原料は大豆で、お米に比べて約85%もの圧倒的な糖質オフを実現している。同じ量のお米と比べて高タンパクで、未来の主食として開発した。フジッコとして初めて1月にクラウドファンディングを行って支持をいただいたので、この3月から直販でテスト販売を開始した。まだ都内で4店舗くらいだが、同時にB2Bでレストランに提供し、少しずつ市場を探っている段階だ」(丸山氏)
宮城県石巻市の複合施設にある「MORIUMIUS(モリウミアス)」のシェフが開発した「雄勝の海の幸 ロカボ パエリア」(K,D,C,,,の3階シェアダイニングで5月5日※まで食べられる)。「期間限定だが、K,D,C,,,でより多くの皆様に健康とおいしさと満腹を体験していただければと思っている」(丸山氏)
カゴメ 事業開発室長の吉見信彦氏は野菜摂取の充足度を測定できるデバイス「ベジチェック」とともに登壇した。
「光センサーに手のひらを押し当てて、皮膚の中のカロテノイド量を測り、野菜摂取の充足度を計測できる。ドイツのベンチャーと測定するアルゴリズムを共同開発した。社内でプラントベーストの新商品開発もしているが、こういうセンサーデバイスと健康データを使った新事業領域を進める健康事業部も立ち上げている。Bites!にはロボティクスのスタートアップがいたので、お客様に対して何か提供できないかと考えてディスカッションをしている。デバイス、健康データのサービス提供も含めて統合的なサービスを検討しているところだ」(吉見氏)
パートナー企業の一つであり、バウムクーヘンで有名なユーハイムは、3月に愛知県名古屋市に「FOODTECH INNOVATION CENTER」を開設し、AIを使って職人の焼き方を再現するロボット「THEO(テオ)」をローンチした。
ユーハイム 代表取締役社長の河本英雄氏はフードテックの開発に向けて重要なのは共創だと語る。
「(Bites!には)スタートアップ企業をたくさんご紹介いただいた。テクノロジー開発に力を入れる中でつくづく思うのが、1社ではまったくできないということだ。たくさんの人たちが集まり、その共通の思いや夢などが非常に大事になる。そういうものを助成する場所を作り、みんなでやっていきたいと立ち上げたのがフードテックイノベーションセンターだ。フードテックは誰のためにあるのかという話があると思うが、当社は今までは工場でしか食べられなかった、職人による焼きたてのバウムクーヘンをみんなに食べてもらいたいという面もある。職人のためのフードテックという立場でフードテックの開発に力を入れている」(河本氏)
【訂正とお詫び】
※掲載当初、日付に誤記がありました。訂正し、深くお詫び申し上げます。
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