トヨタ自動車を中核とするトヨタグループの豊田中央研究所は、太陽光エネルギーを与えて二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から有用な物質を作るいわゆる「人工光合成」に関し、太陽光変換効率が世界最高の7.2%という装置を開発した。
光合成とは、太陽光エネルギーを利用し、水と二酸化炭素だけから別の物質を合成する反応。植物の場合は、栄養源となるデンプンを作る。豊田中央研究所の装置は、二酸化炭素と水からギ酸(HCOOH)を合成した。
合成された物質を化学エネルギーとして貯蔵すれば、さまざまな用途で活用しやすい。経済活動などで排出される二酸化炭素を回収して有用な物質へ変換できれば、地球温暖化の対策になるうえ、資源活用にもつながる。
この装置は、二酸化炭素を含む水溶液に酸化電極と還元電極を入れ、外部からエネルギーとして太陽光を与えると、太陽電池の作る電気エネルギーを使って常温常圧でギ酸を合成する。太陽電池セルや電極の構造を工夫し、ギ酸合成に必要な電子、水素イオン、二酸化炭素を電極全面に素早く途切れることなく供給するようにしたそうだ。
その結果、36cm角という実用的なサイズの太陽電池セルでありながら、世界最高の変換効率7.2%を達成できた。ちなみに、この値は植物の変換効率を大きく上回るという。
ギ酸は、還元剤や防腐剤、抗菌剤など多くの用途がある有機化合物。水素貯蔵の材料としての研究も進んでいる。
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