いすゞ自動車、日野自動車、トヨタ自動車は3月24日、商用事業において新たな協業に取り組むことに合意したと発表した。小型トラック領域を中心に、EV・FCV、自動運転技術、電子プラットフォームの開発に共同で取り組む。
協業では、いすゞと日野自動車が培ってきた商用事業基盤に、トヨタ自動車のCASE技術を組み合わせることで、「CASE」の社会実装・普及に向けたスピードを加速。輸送業が抱える課題の解決や、カーボンニュートラル社会(二酸化炭素における排出と吸収が同量という概念)実現を目指す。
EV・FCVについては、3社が共同で取り組むことで車両コストの低減をはかるとともに、福島県における水素社会実証へのFCトラックの導入をはじめ、インフラと連携した社会実装を進め、普及に向けた取り組みを加速させる意向。
また、3社のコネクテッド基盤をつなぎ、顧客の課題解決につながる商用版コネクティッド基盤を構築するなど、さまざまな物流ソリューションの提供にも取り組み、商用車の輸送効率を向上させることで、CO2排出量の低減にも貢献していくという。
協業の円滑な構築・推進を目指すため、いすゞとトヨタは資本提携に関する合意書を締結。トヨタは、いすゞが実施する第三者割当による自己株式の処分により、普通株式3900万株を総額428億円で取得する予定。また、いすゞ自動車も、市場買付により同額規模のトヨタ株式を取得する予定。
加えて、協業を推進するため、商用車におけるCASE技術・サービスの企画を手掛ける新会社「Commercial Japan Partnership Technologies」を設立。4月1日から事業を開始する。資本金は1000万円、資本構成はトヨタ自動車が80%、いすゞ自動車は10%、日野自動車は10%。
いすゞ代表取締役社長の片山正則氏は、「日野といすゞが手を組むのは物流を変えるのに非常に良い話」とし、「システムの統一に問題があった。(日野自動車の)下社長と話す機会はあるが、最もライバルであることでどうしてもお互いに様子見をしていた。今回、トヨタが非常に大きな接着効果、後ろからバックアップしてもらったことが今回の提携に至った大きな要素」としている。
2社で国内の商用領域でシェア8割を握る日野といすゞが、商用プラットフォームを統一することで、物流企業のDXを支援。コネクテッド技術を活用することで、50%を切っているトラックの積載効率を引き上げることができるという。さらに3社は、協業内容を深めるとともに、志を同じくするその他のパートナーとの連携についても、オープンに検討していく。
片山氏は、「3社の力を入れれば絶対にできる。やりたいことはいっぱいあるし、逆にお客様からいすゞとトヨタと日野でやってくれないかという声も出てくると思う。新しいパートナーも入ってくると考えると非常にワクワクする」と期待を寄せた。
なお、いすゞはスウェーデンのボルボ・グループと商用車で戦略的提携を結んでいるが、今回のトヨタ・日野との資本提携は、中小型トラックやバン・ピックアップが中心のため、バッティングはしないという。
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