Facebook、Google、およびTwitterの最高経営責任者(CEO)は米国時間3月25日、米議員と直接意見を戦わせた。議員らは誤情報やテクノロジー依存など、世界屈指のオンラインプラットフォームで生じている問題について、3人のCEOを厳しく追及した。
3人のCEOはいずれも過去に議会で証言したことがあるが、長時間に及んだ今回の公聴会は、1月の議会襲撃事件以降、FacebookのMark Zuckerberg氏、GoogleのSundar Pichai氏、TwitterのJack Dorsey氏が議員らの前に現れる初の機会となった。
民主党と共和党の議員たちは、ソーシャルメディアが子どもに及ぼす可能性がある悪影響への懸念を提起した。Bill Johnson議員(オハイオ州選出、共和党)は、「大手テクノロジー企業は、いわば火のついたタバコを子どもに渡し、死ぬまでずっと中毒でいるよう願っているようなものだ」と述べた。Facebook傘下のInstagramは、13歳以上でないとユーザー登録できないが、12歳以下の子ども向けバージョンの写真共有アプリを開発中だ。Facebookにはすでに、「Messenger」の子ども向けバージョンがあり、Google傘下のYouTubeにも子ども向けアプリがある。
Zuckerberg氏:FacebookのCEOである同氏は、3歳と5歳になる自分の娘たちについて、同社の製品をほとんど利用していないと述べた。上の娘のMaxちゃんには、「Messenger Kids」を使っていとこたちとメッセージをやりとりすることを許しており、YouTubeの教育動画を2人の子どもと視聴している。同氏は、Facebookのサービスが子どもに有害という考えに反対しながらも、「子どもの体験を管理できる方法」など、解決が必要な問題がまだあると認めた。
Pichai氏:Googleの製品が子どもたちの心の健康に及ぼす影響について調査しているか尋ねられたPichai氏は、精神衛生関連の各機関を含む専門家に広く助言を求めていると述べた。また、YouTubeもパートナー各社と協力して子ども向けのコンテンツを集約し、科学やアニメ、「セサミストリート」の動画が目立つようにしているという。Pichai氏はさらに公聴会の後半で、これが重要な問題であることは自身も認識しているとして、自分にも子どもがおり、子どもたちのスクリーンタイム(画面を見ている時間、ネット利用時間)について心配していると述べた。
議員らは、1996年に成立した通信品位法230条に関するものを含め、新たな規制を模索していることを明らかにしている。通信品位法230条は、ユーザーが投稿したコンテンツについてオンライン企業の免責を認めた法律だ。下院エネルギー・商業委員会のFrank Pallone, Jr.委員長(ニュージャージー州選出、民主党)は、「現在、わが国の法律は、これらの企業が偽情報の拡散を制限するどころか、むしろ何もしないことを容認している」と述べた。
Zuckerberg氏:FacebookのCEOは230条の改定を支持する考えを示した。同氏は証言原稿の中で、企業は「違法コンテンツを特定して削除する仕組みがあることを示すよう求められる」べきだが、コンテンツが検知をすり抜ける場合には企業が責任を問われるべきではないとした。また、より小規模なプラットフォームに及ぼす影響について議員らは慎重を期す必要があるとも述べた。
Pichai氏:通信品位法230条の改定や撤廃によって、コンテンツモデレーションがさらに困難になったり、自由な表現を損なったりするおそれがあると、Googleは懸念している。Zuckerberg氏の改定案を支持するかどうか質問されると、Pichai氏は、会社として歓迎する「透明性と説明責任をめぐる確実に良い提案」があると答えた。
Dorsey氏:Pichai氏の意見に同調し、透明性をめぐるZuckerberg氏のアイデアは「良い」と述べながらも、「規模の大きなプラットフォームとは何で、規模が小さなプラットフォームとは何かを判断するのは、かなり難しいだろう」とした。
テクノロジー企業のCEOたちは、Donald Trump前大統領の支持者らが選挙結果の確定を妨げようとした1月の米議会乱入事件について、自社のプラットフォームが果たした役割について詰問された。この事件を受け、3社のプラットフォームはいずれも、暴動誘発に一役買ったとしてTrump氏のアカウントを一時停止または凍結した。
Zuckerberg氏:Zuckerberg氏は、Facebookが、暴力につながるおそれがある投稿の削除に努め、暴徒を特定するために法執行機関と緊密に協力したと述べた。しかし、議会乱入事件に果たしたFacebookの役割については重視しない姿勢を見せた。「前大統領は自分の言葉に責任を持つべきであり、法を破った者は自分の行動に責任を持つべきだと考えている」(Zuckerberg氏)
Pichai氏:GoogleのCEOは、暴動に至る前、YouTubeは規則に違反する数千本の動画を削除したとして、「われわれには明確なポリシーがあり、これを積極的に適用していた」と述べた。
Dorsey氏:TwitterのCEOは、同社が投稿の削除に注力し、誤情報を拡散させないように努めたとして、「こうした事態になるという事前の兆候はなかったため、われわれは即座に対応する必要があった」と述べた。議会への乱入につながった誤情報の拡散について、プラットフォーム各社に「いくらか責任がある」かをイエスかノーで答えるよう求められると、CEOたちは言葉を濁した。Dorsey氏は議員らに対し、「より広範なエコシステム」を考慮するべきであって、「われわれが利用するテクノロジープラットフォームに限定するべきでない」と指摘した。
多くの共和党議員は、プラットフォーム各社が保守派の意見を検閲しているという、たびたび繰り返される主張についてCEOらを厳しく追及した。CEOらはこの主張を否定し、政治に関係なくポリシーを適用していると述べた。
Dorsey氏:TwitterのCEOは、Joe Biden米大統領の息子Hunter Biden氏に関する疑惑を取り上げたNew York Postの記事へのリンクをブロックした同社の決定について尋ねられた。この疑惑は、米大統領選挙まで約3週間というタイミングで報じられたものだ。Dorsey氏は、記事に対するTwitterの対応は「完全な誤り」だったと述べた。「当社は特定の政治的傾向に基づいてポリシーを策定しているわけではない」と同氏は述べ、「そのような内容を見つけたら修正する」とした。
Zuckerberg氏:保守派などの意見を抑える可能性のあるコンテンツ削除について尋ねられたZuckerberg氏は、同社の人工知能(AI)ソフトウェアが常に適切な判断を下すわけではないと答え、「当社は世界中の150の言語でシステムやコンテンツを構築する必要があり、それを素早く実行しなければならない。そして素早く効果的に実行しようとする中で、残念ながらいくつかの誤りが生じた」とした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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