Appleが折りたたみ式の「iPhone」を視野に入れていることは、隠れもない事実だ。同社はほぼ10年も前から、折りたたみのメカニズムや装置の特許を登録し続けている。ただ、発売日は一向に提示されない。問題は、果たしてそれが日の目を見る日は来るのかどうか、来るとすればいつなのか、ということだ。
以前のうわさでは、2021年中に発売されるのではないかとも言われていた。だが、Appleに詳しいアナリストとして定評のあるMing-Chi Kuo氏の最近の予測(MacRumorsが報じている)によると、発売されるとしても、2023年の方が公算が大きいという。Appleが折りたたみ式のデバイスを販売するには、まだ技術上の問題や量産体制の問題を解決する必要があり、ゆえにまだあと2年は待たねばならない、とKuo氏は説明している。
サムスンの市場最速戦術と比べると、Appleは大きく水を開けられている。サムスンは、過去2年の間に「Galaxy Fold」「Galaxy Z Fold2」「Galaxy Z Flip」と、折りたたみ式デバイスを既に3モデルも投入しているのだ。Microsoft、Motorola、華為技術(ファーウェイ)などの他メーカーも、それぞれの折りたたみ式デバイスでこの市場に既に参戦している。
2023年というKuo氏の予測は、Bloombergが2021年1月に報じた予測とも一致している。Appleは既に、折りたたみ式iPhoneのディスプレイの実動プロトタイプを手にしていると、Bloombergは指摘したのだ。実用モデルではないとしても、特許の段階よりは前進している。それまでは、特許の情報しか分かっていなかったからだ。
Appleは、折りたたみディスプレイに関して、考えられるあらゆる形の特許を出願しているように思える。折り紙式ディスプレイ、折りたたみ式ディスプレイ、フリップ式ディスプレイ、巻き取り式ディスプレイなどだ。最終的に採用されるのがどの方式かは分からないが、Kuo氏とBloombergの見解は一致しているようである。現時点のプロトタイプはオーソドックスな見開き型デザインであり、開くと7.5インチまたは8インチのメインディスプレイになりそうということだ。外側にヒンジがあるMicrosoftの「Surface Duo」とは違って、Appleの折りたたみ式デバイスはGalaxy Foldと同様、ヒンジ機構を隠した一体型のディスプレイになりそうだ。
サムスンなどの各社が自ら試行錯誤を重ねているのに対して、Appleは他社の折りたたみ式デバイスで生じた問題点から学び続け、その適切な使い方を模索している。
そうした課題のひとつが、折り目だ。現行の多様な保護素材、例えばサムスンがGalaxy Z FoldとGalaxy Z Flipで採用しているガラスとプラスチックの混合素材などは、開いてフルスクリーンにすると、折り目が目に見える。そうならないよう、Appleはおそらく、iPhoneのディスプレイガラスの製造元であるCorningが、「Ceramic Shield」(セラミックシールド)の折り曲げ可能バージョンを作れるようになるまで待たなければならないだろう。Corningは既に折り曲げられるガラスに取り組んでいるが、その発表日を公表するには至っていない。
折りたたみ式スマートフォンのもうひとつの大きな問題が、価格だ。Galaxy Z Fold 2は1999.99ドル(約21万円)で、サムスンの他のフラグシップモデルと比べても2倍を超えている。折りたたみ式iPhoneも、決して安くはならないだろう。Appleが折りたたみ式を出す以上、他社と競合するためには現在の折りたたみ式とも、また非折りたたみ式とも互角でなければならない。そのうえで、iPhoneユーザーに、単一スクリーンのデバイスからより高額を支払って折りたたみ式に乗り換える気にさせる必要があるのだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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