KADOKAWA Connectedは3月15日、DX人材育成サービス「KDX道場」を本格始動すると発表した。
KADOKAWA Connectedは、KADOKAWAグループで運営するサービスのインフラ開発・運用や、ICTコンサルティング、働き方改革支援を手掛け、その実績を活かしたデジタルトランスフォーメーション(DX)アドバイザリーサービスを提供。「DXアドバイザリーサービス」や、「世界一わかりやすいDX入門」を軸とした輪読会や勉強会などの提供を通じて、多数企業のDX推進に貢献してきたという。
同社では、これまでのノウハウや知見を活用し、企業でDXを推進していく経営者・DX担当者の課題を解決する「DX人材育成プログラム」と、2020年にKADOKAWA ConnectedがKADOKAWAの守りのDXを進める中で得たノウハウを凝縮した「効率よく働いて機嫌のいい職場にするために マンガでわかる!驚くほど仕事がはかどるITツール活用術」を軸とした輪読会や勉強会などを提供。DXアドバイザリーサービスなどの既存サービスと、今回の新サービスを総合してKDX道場とし、サービス内容の充実と対象顧客の拡大を図るという。
DX人材育成プログラムでは、DXを進める上で重要な「サービスチーム」をリードするDX人材育成を支援。また、既に提供済のメンターサービス、DXアドバイザリーサービスと組み合わせることで、KDX道場として顧客の社内の属性に合わせた全社推進をサポートする。
DXにより提供できる価値のひとつとして、モノだけではなくコトという体験がある一方で、サービスチーム群が連携をしてビジネスを推進することも重要という。DXアドバイザリーサービスを受けた後に、この育成プログラムを受講することで、DXの基本である合理的なマネジメントの仕組みを根付かせて行くことができるとしている。同社では、2022年中20社の本サービス導入を目標としている。
KADOKAWA Connectedは3月15日に記者会見を実施。代表取締役社長の各務茂雄氏はKDX道場について触れつつ、「DXとは、1年や2年で終わるようなものではなく、5~10年という長い道のりを歩んでいく経営改革。私たち自身は、事業会社で行っているDXのノウハウを、日本全国に向けて価値があるものを抜粋して横展開していく」と語り、サービス化かつリーズナブルな価格によってオープン化していく意向を示した。
KDX道場について説明を行った、KADOKAWA Connected Customer Success部 部長の菊本洋司氏は、DX推進は山登りに似ていると語る。「小さい山に登ると次の山が見える。たとえば、丹沢に登ると、南アルプスが見え、その次には富士山が見えてくる。DXも、小さな課題を解決するところから始まり、より重要な経営課題が見えてくる。山の連なりを進んでいくごとに、さらに難しい課題に立ち向かい、最終的に山頂に到達する」と説明し、同社では「DX道」と呼んでいるという。
DX推進を山登りに見立てたうえで、そのためのアプローチに大切なことのひとつに「道なき道に道を作る人」を挙げた。この道を作る人が、いわゆるDX推進リーダーにあたる人材。「過去の負債がたくさんあるところを避けたり、処理しながら道を作っている必要がある。その道作りをする人材が足りないと感じている」という。あわせて「新たな山に登っていくには、道作りができる人材がそもそも足りない」ということも課題として出てくる。
同社ではKADOKAWAのなかでDX推進リーダーにあたる人材のサポート、ならびに次世代のリーダー育成も行っており、その知見を横展開できる価値があるものと考えたことが、KDX道場や、DX人材育成プログラム提供の背景とした。
質疑応答のなかで、企業や組織におけるDXがうまく進まない理由について、各務氏は「マネージメントだと思っている」とコメント。「特に上層部が決めないとか、中堅のミドルマネージャーが正しく進められないと、現場で起きている課題や要望が上手く伝わらず、進展しない。意思疎通ができておらず上手くいかないのは、意思決定の基準があいまいだから」と指摘し、いわゆる経営層などの上層部が強く意識して進めることを求めた。
各務氏は続けて、一部のチームができていたとしても、縦割り組織であったがゆえに、横展開をしようとすると、組織の壁で阻まれたり、利害関係の調整ができずに止まってしまう場面を何度も見てきたと振り返る。「そこを解決することが、デジタル技術、デジタル思考で物事を進めるDXの一丁目一番地と考えている」と語った。
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