Microsoftは米国時間2月1日、「Azure Quantum」サービスのパブリックプレビューを開始したと発表した。世界第2位の規模をもつ同社のクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」に、従来とは大きく異なるコンピューティング技術が加わることになる。
Azure Quantumでは、HoneywellおよびIonQが手がけた量子コンピューターを提供する。これらのコンピューターは、電荷を帯びた原子を量子ビットに用いるイオントラップと呼ばれるデザインを採用している。量子ビットとは、量子コンピューターが情報の保存と処理に用いる基本要素だ。Microsoftは将来的にQuantum Circuitsのデザインも追加する計画だ。
Azure Quantumのパブリックプレビュー開始は、量子コンピューターの商用化に向けた最新の動きとなる。量子コンピューターは、従来のコンピューターでは解決できない問題に取り組むことを可能にする。BMW、Airbus、Rocheなどは量子コンピューターを試験的に利用しているが、研究プロジェクト以外の実用化はまだ何年も先になるだろう。
とはいえ、一部では商業用途への応用がテストされている。
BMWは、自動車部品サプライヤーの最適な組み合わせや電気自動車の給電ステーションの最適な配置を見出すのに、量子コンピューターがどれだけ役立つかを検証している。また量子コンピューティングは、新しい化学反応、薬剤、材料をデザインするといった分子エンジニアリングの課題にも役立つことが期待される。
クラウドベースの量子コンピューティングサービスを提供しているのは、Azureだけではない。世界最大のクラウドプラットフォーム「Amazon Web Services(AWS)」を手がけるAmazonは「Braket」を提供している。自社で量子コンピューターを手がける専門知識やハードウェア、資金のある企業は少ないため、これらのサービスは量子コンピューティングにとって非常に重要だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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