Googleの量子コンピューターが従来のコンピューター技術を大幅に上回ったことが明らかになった。この成果は「量子超越性」(quantum supremacy)と呼ばれるもので、革命的なデータ処理手法の開発の中でも重要なマイルストーンとなる。Googleは米国時間10月23日、「Nature」誌に掲載された論文でこの成果を明らかにした。これはGoogleによる10年以上にわたる研究の成果であり、その取り組みには、Googleが独自開発した量子プロセッサー「Sycamore」も用いられている。
Googleの研究者たちは今回の成果に関するブログ記事の中で、「当社のマシンは200秒で目標の計算処理をこなした。われわれは実験における測定結果から、世界最速のスーパーコンピューターが同じ結果を出すには1万年かかると結論づけた」と述べた。
この研究は、Googleの論文が誤って一時的に予定より早く公開されたことがきっかけとなって、9月にいち早く報じられ話題を集めていた。今回の研究成果は、量子コンピューターが研究室を飛び出し、コンピューターのメインストリーム領域に乗り出す可能性を示す、確かな証となるものだ。量子コンピューターは、新素材の開発、分子レベルの新薬設計、金融投資の最適化、荷物の配送のスピードアップといった、重要な使命を担うことが期待されている。
また、今回の量子コンピューターに関する成果は、従来型のコンピューターの性能向上が停滞する中で成し遂げられた点でも注目に値する。従来型のコンピューターの性能は、汎用プロセッサの処理速度を基準とし、ムーアの法則に従って発展してきたが、近年その進歩には陰りが見えていた。
ただしこれは、従来型コンピューターの終わりの始まりではないというのが、現時点における量子コンピューターの専門家の見解だ。量子コンピューターは扱いにくく、通常のコンピューターとは大きく異なるうえ、その稼働には厳しく管理された環境を必要とする。そのため、現在、私たちが従来型のコンピューターで行っている業務の大半が、量子コンピューターに取って代わられることはなさそうだ。
むしろ、量子コンピューターは従来型マシンの加速装置としての役割を果たし、その有用性によって必要不可欠なものになるとみられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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