アマゾン、アップル、グーグル--2020年のスマートホーム市場を制したのは? - (page 3)

David Priest Molly Price (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年12月26日 07時30分

D Amazonは、ビジネスという観点では競合他社に比べて素晴らしい1年を過ごしました。パンデミックとそれに続く外出禁止により、Amazonの売り上げは大幅に増加したのです。新しいEchoはわれわれがテストした中では最高のスマートスピーカーのひとつであり、Alexaも音声アシスタントとして大きな進歩を遂げました。

 しかし、Amazonはプライバシーポリシーに関して、いつも危ういところを攻めています。最近では、ユーザーが使用したいかどうかにかかわらず、Amazon Sidewalkに関する項目を自動的にオンにしました。Amazon傘下でホームセキュリティデバイスを手掛けるRingは、進歩の名のもとにプライバシーという概念の境界線を押し続けています。また、Alexaは、人間によるレビューを受ける音声録音機能をユーザーが手動でオフにしなければならない唯一の音声アシスタントであり続けています。

 Molly、以上を総合すると、顧客情報をめぐる信頼の面で2020年最も優秀だったのはどの企業でしょうか?

M これは最も難しい質問であり、アシスタントやプラットフォーム全体を自宅のネットワークに接続することを考えると、おそらく最も重要な質問です。製品の安全性のアピールにおいて、公の場で(少なくとも広告について)最大の努力を割いているのは間違いなくAppleです。

 また、これは裏付けのない主張というわけでもないのです。Appleは厳しいセキュリティ基準を満たす、厳選された数のデバイスを揃えるために、互換性のある大量のデバイスを擁することを諦めています。このことは、Appleのスマートホーム製品の展開を制限する可能性がある一方で、Tim Cook氏による抑制方針の見事な表れでもあります。

HomePod
AppleのHomeKitはホームセキュリティデバイスのArloの製品など、主としてハイエンドの製品に対応している。
提供:Chris Monroe/CNET

 パスワードの更新をまめにやり、アプリを適宜アップデートし、個々のアプリが何のデータを収集するかを積極的に管理し、Amazonが自動的に情報をばらまいてしまうような項目は何であれ全てオプトアウトすれば、おそらく問題はないでしょう。これはデバイスの負の側面を心配することなく気軽に利用したい、忙しい消費者にとっては結構な負担です。

 私の意見でも、この分野はAppleの勝ちです。加えてHomePod miniも登場したので、Appleは私が予想していた以上の点数を思いがけず獲得することになりました。

D そうですね。私の記憶が正しければ、昨年はデータの扱いに関する信頼性のセクションですべての企業に落第点を与えましたが、この分野に関してそれほど大きな変化があったとは思いません。特にAmazonとGoogleのユーザーにとってはそうです。しかし、Appleのスマートホームに対する取り組みは私にとっては励みになるものでした。特に顧客へのメッセージの中で、プライバシーとセキュリティを優先的な項目として挙げたことが大きいと考えており、このようなトレンドが定着することを願っています。こうしたメッセージは、人々に自分のプライバシーは重要だということ、一時的な利便性のためにそれを手放したりするべきではないということを再認識させるものでした。また、プライバシー重視の姿勢を打ち出したことで、Appleの評判がプライバシー問題に大きく左右されるようになったといえます。このようなメッセージを出した後では、プライバシー侵害の問題はスマートホーム事業におけるAppleというブランドに、競合他社が受けるよりも大きなダメージを与えることになるからです。

勝者:Apple

敗者:Amazon、Google

結局、2020年の勝者はどの企業なのか?

 2020年のGoogleは驚くほどひっそりとしていた。第4世代Echoと競合する中価格帯のNest Audioを出したが、われわれはこれに良い評価を与えなかった。Googleアシスタントの優位性は動かなかったが、Alexaほどの進歩を遂げたわけではない。総評として、Googleが2020年に勢力を落としたとは言わないまでも、拡大したわけではないのは確かだ。

 対照的に、2020年のAppleはHomePod miniでスマートホーム市場に本格参入した。さらに、スマートホームについての議論がプライバシーやセキュリティも扱うようになるよう促した。一方で、AmazonとGoogleはユーザーを自社のプラットフォームに繋ぎとめるのに必要なことだけをして満足しているように見受けられる。SiriやHomeKitに改善の余地があることは確かだが、Appleには今後数年で大きな成果をあげるための準備ができている(スマートホームに本格的な投資をしたことによる、数年の休憩を取らないのであれば)。

 しかし、Appleの素晴らしい進歩をもってしても、Amazonの勝利は揺るがないだろう。AmazonはAlexaの積極的な開発や、境界線を動かすようなデバイスの持続的な生産、やや未熟かもしれない倫理観をもって、スマートホーム市場を支配し続けている。

勝者:Amazon(良くも悪くも)

次点:Apple

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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