M Alexaは追いついてきています。Amazonは先頃、Echoデバイスのライブ翻訳機能や、スマートホームのアクションなどユーザーの要望を推測するAlexaの新機能を提供開始したほか、Wi-Fi帯域幅の一部を使って自宅の外にあるデバイス(庭のスマート照明や「Tile」トラッカーなど)との長距離通信を可能にする「Amazon Sidewalk」機能の提供も年内に予定している。これらは一見すると小さな技術革新に思えますが、それが積み重なっていけば、ほかのブランドに対する大きな利点になるでしょう。
Siriはそれほどでもありません。音声アシスタントとして、Siriは基本的なことはこなせますが、AlexaやGoogleアシスタントほど自然に聞こえません。質問に対して、的外れな回答をすることもよくあります。HomePodとスマートホームの統合に関しては、Appleがクールな機能をいくつか用意していることは間違いないでしょうが(新しい「U1」チップのおかげで、より多くの機能が登場すると思います)、それを除けば、Siriに変化はほとんどありませんでした。
Googleは今年、スマートディスプレイ向けに一連のアップデートをリリースしました。予想通り、それらのアップデートでは、つながりを維持することと、オンライン学習に重点が置かれています(ただし、ビデオチャット用のカメラを搭載するのは229.99ドルの「Nest Hub Max」(編集部注:日本では税込2万8050円)だけ、との注意書きもあります)。2020年に提供された漸進的なアップデートを総合しても、それほど革新的な印象は受けませんでした。正直なところ、スマートアシスタントが5年目で停滞期に入っているのだろうと考えると、不思議なことではありません。
D 私も全く同じ考えです。現在の時点で、Siriが洗練度という点でライバルよりも明らかに劣っていることを別にすれば、音声アシスタントで何ができるのかということは、大体分かっています。今後も、ゆっくりとしたペースでアップデートが繰り返されていく以外に、おそらくそれほど大きな変化はないでしょう。
Googleは、自然に聞こえる音声アシスタントとして相変わらず群を抜いていますが、Amazonの意欲的な技術革新によって、AlexaとAlexa搭載デバイスはGoogleの競合製品に肉薄しています。一方、HomePod miniが登場したにもかかわらず、Appleファンは依然として、標準以下の音声アシスタントと高価格に見合わないスマートスピーカー使い続けなくてはいけない状況です。それから、もし間違っていたら正してほしいのですが、これと同じことがスマートホームのプラットフォームにもある程度当てはまると思います。AmazonとGoogleアシスタントは非常に多くの対応製品があるのに対し、Appleの「HomeKit」は少し後れをとっていますよね。
M 確かにそうですね。スマートホームの統合に関して言えば、AmazonやGoogleのプラットフォームの方が、はるかに多くの対応ハードウェアが出ています。ほぼすべてのデバイスカテゴリーで、「Google/Alexaに対応」する低価格の製品をオンラインで見つけることができます。HomeKitはそうではありません。スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットで大きな市場シェアを奪ってきたAppleが、スマートホーム市場で同じようにできないのは、このことが最大の原因かもしれません。
品質の観点から言うと、GoogleやAlexaに対応するすべてのデバイスが優れているわけではありません。この場合、家に設置するデバイスの価値を見極める責任が消費者に押し付けられることになります。Appleは確かにもっと品質にうるさく、よりハイエンドで定評のあるスマートホームブランドを目指している傾向があります。
勝者:AmazonとGoogle(引き分け)
要改善:Apple
D 私はプライバシーとセキュリティについてかなり多くの記事を執筆してきましたが、この点については、Appleが抜きん出ていると思います。特にセキュリティに関して、Appleはパートナーデバイスについて高い基準を維持しています。Siriの録音を保存していたことを除けば(GoogleとAmazonも同じことをしていますが)、プライバシーをめぐる不祥事はほとんどありません。
Googleのセキュリティは2020年に少し強化されたようです。2019年に(確かに混乱を招きはしましたが)「Works With Nest」エコシステムから「Works with Google Assistant」エコシステムに移行したことも、その一助となっています。基本的に、この移行によって、スマートホームネットワーク内の中核となるGoogleデバイスに対して、サードパーティーデバイス側が制御できる機能(とGoogleデバイスから抽出できる情報)が制限されるようになりました。一方、プライバシーの観点では、Googleには輝かしい実績があるわけではありませんが、2019年のような規模の問題は起こしていません。
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