グーグルが直面する「独禁法問題」とは--知っておきたいポイントを解説

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 編集部2020年09月24日 07時30分

 Googleは、その規模と優位性をめぐって政府と衝突している。

 Googleの親会社Alphabetは、ウェブ検索、オンラインマップ、動画プラットフォームのYouTube、モバイルOSの「Android」を含む多様な事業を運営している。Googleの製品は世界中に遍在する。そのサービスの多くは、それぞれ10億人以上の月間アクティブユーザーを擁する。

 Googleは世界でも特に影響力の強い企業の1社であり、競合他社は同社が力を使って革新と競争を阻害していると抗議してきた。現在、米司法省、複数州の司法長官、連邦議会がこうした抗議を真剣に受け止めている。The Washington Postによると、司法省は同社を独禁法違反で提訴する計画について今週、州の司法長官に説明する予定で、提訴は早ければ来週になる見込みだという。

 最新の動きは9月15日、Googleのグローバルパートナーシップおよび企業開発担当責任者のDon Harrison氏が上院司法委員会の反トラスト小委員会が開いた公聴会で証言したことだ。両党の議員らは、Googleの大規模な広告ビジネスについて同氏を問い詰めた。

 民主党の有力議員、Amy Klobuchar氏は冒頭陳述で「この公聴会を開催したのはGoogleが成功しているからではない。どんなに成功している企業でも、どんなに人気のある企業でも、どんなに革新的な企業でも、独禁法を含むわが国の法に従う必要があるから開催したのだ」と述べた。

 Harrison氏は公聴会で、Googleはデジタル広告業界を独占してはいないと主張し、FacebookやSnapchatなどの競合に言及した。Klobuchar氏は「私はそうは思わない」と応じた。

 Googleへの独禁法調査は新しいことではない。米連邦取引委員会(FTC)は2013年、同社が検索結果を操作しているという申し立てを受けて実施した2年にわたる調査を締めくくった。FTCは、Googleが独禁法に違反してはいないとの判断を下した。

 この問題に新たなスポットライトが当たったのは、複数のテクノロジー系大企業の規模と影響力に関する批判が高まったためだ。議会と規制当局は、こうした力がより小規模なシリコンバレー企業の競争力を奪うことで、消費者の利益を損なうことを懸念している。

 Googleだけでなく、Apple、Amazon、Facebookも連邦規制当局と議員による調査の対象だ。Googleの最高経営責任者(CEO)、Sundar Pichai氏は7月、FacebookのMark Zuckerberg氏、AmazonのJeff Bezos氏、AppleのTim Cook氏の各CEOとともに、連邦議会下院の反トラスト法に関する小委員会の公聴会にリモートで参加した。

GoogleのCEO、Sundar Pichai氏
GoogleのCEO、Sundar Pichai氏
提供:Getty Images

 4社の中で、独禁法違反で提訴される可能性が最も高いのがGoogleだ。Googleの事業のさまざまな領域が調査の対象となっている。

 独禁法をめぐるGoogleの戦いについて知っておくべきことをまとめた。

Googleが直面する独禁法問題とは

 議員と規制当局が最も注目しているのは、Googleによるウェブ検索、デジタル広告、スマートフォンアプリでの優位性だ。

 同社は米国におけるオンライン検索のおよそ90%を処理している。このオンライン検索がGoogleの大規模な広告事業の基盤であり、広告事業は同社の1600億ドル(約17兆円)の年商のほぼすべてを生み出している。Googleは、検索結果の表示で競合のリスティング広告よりも自社製品のショッピング広告やローカルビジネスリスティングを優先することで競合他社を阻んでいると批判されている。また、同社が検索結果としてメディアの記事やウェブサイトへのリンクをシンプルに一覧表示するのではなく、それらのコンテンツの一部を回答として直接表示していることも批判の対象だ。

 Googleが広告の売り手と買い手を結びつける複雑なマッチングシステムを独占していることも精査の対象だ。競合他社は、このシステムがGoogleに広告市場で不公平な優位性を与えていると主張する。同社の広告技術のほとんどは、2008年の広告技術企業DoubleClick買収などの、企業買収で獲得したものだ。

 Googleは、世界で最も広く利用されているモバイルOSであるAndroidも保有している。このOSが市場を独占していると言っても過言ではないだろう。Androidは世界で出荷されるスマーフォンのほぼ10台中9台に搭載されている。Googleは、この支配的立場を使ってAndroidスマートフォンのOEMメーカーにGoogle検索アプリや「Googleマップ」などの自社アプリを端末にプリインストールさせているとして批判されている。

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