“食意識”をデータ化し「食のOS」をつくれ--ニチレイ初のフードテックが本格始動

 食品メーカー大手のニチレイは、個人の食の好みを分析し、それぞれの好みにあったレシピや情報提供を可能にする食嗜好分析システム「conomeal(このみる)」を開発したと発表した。conomealのシステムを具体的なサービスとして個人向けに開発したものが、まもなくベータ版サービスとして公開するスマートフォンアプリ「conomeal kitchen (このみるきっちん)」だ。

 2017年から事業開発グループを設立し、新規事業に取り組んできたニチレイが手がける初のフードテックがいよいよ本格始動した。開発の陣頭指揮を執ったニチレイ 技術戦略企画部事業開発グループの関屋英理子氏に話を聞いた。

「自家製ミールキット」の献立を提案

 conomealは、個人の食意識、気分、環境から、食の好みをAIが分析し、個人に合う食を提案する。好みを診るという意味と、食事を意味するmealをかけあわせてconomealと名付けたという。

 具体的なサービスとして個人向けに開発したものが、つくりおき献立を提案するアプリ、conomeal kitchenだ。9月下旬から提供し、ベータ版サービスとして開始する。

ニチレイ 経営企画部 事業開発グループの関屋英理子氏
ニチレイ 経営企画部 事業開発グループの関屋英理子氏

 conomeal kitchenは、簡単な質問に答えることによってAI(人工知能)がその人の食の嗜好を分析し、その人に合った献立を提案する。関屋氏はconomeal kitchenについて「献立を決める人の悩みを解決するアプリ」だと語る。

 利用開始時に6つのアンケートに答えることで、その人が持っている食に対する価値観を判定。「素材にこだわって食材を選びたい」「グルメなのでおいしいものを食べたい」などの食の嗜好を判定し、献立を作る日にちや食べる人を決めて「作る」ボタンを押すと、その人の食の嗜好をベースに献立を提案する。

 conomeal kitchenがユニークなのは、その日に食べる献立を提案するのではなく、「自家製ミールキット」の献立を提案する点にある。ミールキットといえば、1つのメニューに必要な肉や魚、野菜、調味料などがセットになっており、届いてから調理するものを指すことが多いが、conomeal kitchenが言う自家製ミールキットは「温めるだけで食べられる料理」と「焼くなどの一手間をかけて完成する料理」の2つが合わさったものだという。

 「時間のあるときにまとめて作って、忙しい普段の日はそれを温めて食べられるような、作り置きに特化した献立に絞り込んでいる」(関屋氏)

献立を決める人の悩みを解決するアプリconomeal kitchen
献立を決める人の悩みを解決するアプリconomeal kitchen

 余裕のある週末の時間などを活用して常備菜を作り置きしたり主菜の仕込みをしたりすることで、効率のいいライフスタイルを送りたいというニーズはあるものの、「初めての人にはハードルが高いようだ」と関屋氏は語る。

 「調査をしたところ、材料をどれくらい買えばいいのか、何から作ればいいのか分からない、時間がかかりそうといった声があった。そのハードルを越えるために、レシピの提供方法を工夫している。同じ野菜を使うならまとめて切るような調理工程が出るようになっており、不慣れな人でもそんなに時間をかけずに効率よく作ってもらえるようなものになっている」(関屋氏)

 たとえば5つの献立を作る場合、5つの料理に必要な野菜を切ってから、肉を切ったりした味を付けたりして、まな板や包丁をいちいち洗う面倒がないように手順を工夫しているのが特徴だ。

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