ニチレイは8月4日、個人の食の好みを分析し、それぞれの好みにあったレシピや情報提供を可能にする食嗜好分析システム「conomeal(このみる)」を開発したと発表した。
食品メーカーとしてニチレイは、食に関するさまざまな研究を行っているが、そのなかでも美味しさについては、味、香り、食感といった品質が及ぼす影響のみならず、心理的な影響から個人差が大きく、個人の味の好みを定量化することは難易度が非常に高いものだったという。
これまでも心理的な影響については、心理計量学(サイコメトリクス)を用いた研究を行い、品質の影響については、「MS Nose」の2つの技術をはじめとする独自の手法を組み合わせて、美味しさの見える化に取り組んできた。これらの知見をAIに組み込んで開発したのがconomealだ。AIは、北海道大学情報科学研究院の川村秀憲教授をアドバイザーに迎え開発したという。
conomealは、個人の食意識、気分、環境から、食の好みをAIが分析し、個人に合う食を提案する。好みを診るという意味と、食事を意味するmealをかけあわせてconomealと名付けた。
サイコメトリクスの活用により、個人がもともと持っている食に対する価値観「食意識」を判定し、気分や環境を加味した食の好みの分析が可能になった。これらの分析データに基づき、それぞれの好みにあった料理・レシピを提案するという。
従来の提案型AIは、料理の画像や食材購入履歴など過去の実績データを活用したものだが、conomealは食意識タイプや気分などの心理的要素を分析に利用しているところが新しい。ニチレイは、個人向け企業向け問わずさまざまな場面で、conomealを通じた新しい価値提供が可能になるとしている。
また、具体的なサービスとして個人向けに開発したものが、つくりおき献立を提案する「conomeal kitchen」というスマートフォン用アプリだ。日々の献立作りや食材の買い物、調理の効率化を図るため、“つくりおき”に着目して企画したという。9月末にベータテストを実施予定で、テストユーザー募集については改めて案内するとしている。
conomeal kitchenは、ユーザーが6つの質問に答えることで、AIがユーザーの食の好みを分析し、その人に合った献立を提案する。利用すればするほど、AIはユーザーの好みを学習する。大きな特徴は、つくりおきをする際の最適な調理手順を提案することだ。つくりおきに慣れていない人でも効率よく作れ、かつ食材も無駄なく使える献立案を提供する。
ニチレイは、家族構成や働き方の変化、あるいは少子高齢化などにより、食のパーソナライズ化がますます進展するものと見る。conomealとconomeal kitchenを通じて、生活者一人一人にあったおいしい瞬間を届けられるよう取り組むとしている。
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