Fitbitの買収によってフィットネストラッカー市場に参入しようというGoogleの思惑の前に、大きな障害が立ちはだかった。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は現地時間8月4日、この買収に対する本格的な調査を開始していると発表した。
ECはプレスリリースで、GoogleがFitbitを買収すれば、同社が提供して表示する広告のパーソナライズに利用できる、既に膨大な量のデータがさらに増えて、オンライン広告市場における同社の地位がさらに固められることを懸念していると述べた。
Googleは、2019年11月にFitbitを21億ドル(約2200億円)で買収することを発表し、このようなEUによる調査を回避しようと動いていた。Googleは7月、EUの承認を獲得しようとする中、Fitbitから収集した顧客の健康データを広告ターゲティングに利用しないことを約束したと報じられていた。
GoogleはFitbitを買収することで、スマートフォンだけでなくフィットネストラッカーやスマートウォッチにまで提供製品を拡大し、デバイス販売でAppleやサムスン、華為技術(ファーウェイ)、小米科技(シャオミ)に対する競争力を強化しようとしている。Fitbitは、かつてウェアラブル市場で強い立場にあったが、徐々に「Apple Watch」やその他の競合製品にシェアを奪われている。IDCによると、2019年には世界第5位のウェアラブル製品メーカーとなっている。全体的な出荷台数ではそれなりの増加がみられる。
Googleのデバイスおよびサービス担当シニアバイスプレジデントRick Osterloh氏はブログ記事の中で、「GoogleとFitbitの連携によるハードウェアの取り組みは、この分野で競争を促し、次世代のデバイスをより優れた、手頃なものにするだろう」としている。
GoogleがEUの競争法(独占禁止法)関連の調査を受けるのは、初めてではない。同社は、2017年、2018年、2019年の3回にわたり、EUの競争法に違反したとして総額約93億ドル(約1兆円)の制裁金を科されている。今回、またしても競争法違反の疑いに問われている同社は、EUによって買収計画が完全に覆されないよう願っているだろう。
Osterloh氏は、「当社は、ウェアラブルデバイスに関する消費者の期待に応じるためのアプローチでECと協力できる機会に感謝している」とし、「Fitbitのエキスパートのチームと緊密に連携するとともに、人工知能(AI)、ソフトウェア、ハードウェアでの当社の経験を統合することで、世界中の人々を魅了するデバイスを開発できると革新している」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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