Toralv Ostvangさんがその夜トイレで倒れて頭部を打ったことに気づいたのは「Apple Watch」だけだった。Kacie Andersonさんが危うく命を落としそうな交通事故で生後9カ月の息子と一緒に車内に閉じ込められた際、脱出のために使ったのはApple Watchだった。Heather Hendershotさんに身体の深刻な異常を警告したのは装着しているApple Watchだけだった。
これらの話には1つの共通点がある。2014年9月、Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏が初代Apple Watchを発表した。同氏はその際、これはAppleがこれまで創造した中で最もパーソナルなデバイスだと語ったが、これは大げさではなかった。Apple Watchは発売以来、フィットネスのコーチ代わりを務め、健康モニターになり、誰かとつながるための日常手段になった。そして、一部の人々にとってはそれ以上のものになっている。
Apple Watchはそういう人々の人生さえも変えた。
ベテランテクノロジー記者のTorav Ostvangさんはこれまで多数のApple製品をレビューしてきたが、Apple Watchより優れていると感じられるものはなかった。
2019年2月、Ostvangさんはノルウェーのオスロ郊外の友人宅にいた。その夜彼は睡眠アプリをテストするために、Apple Watch Series 4を腕につけたまま就寝したが、目の前がかすみ始めた。その後倒れたことも、ベッドに戻ったことも覚えていない。
「気が付くとベッドに寝ていたが、頭がひどく痛んだ」とOstvangさんは語る。「顔を触ると、血がついているのが分かった」。彼は意識のはざまをさまよい、気づいたときには明かりのついた部屋で3人の警察官に囲まれていた。
午前4時ごろ、Ostvangさんがトイレに起きた際、血圧が急激に低下した。Ostvangさんは気を失い、トイレの床に顔から倒れた。これをApple Watchの転倒検出機能(Series 4の新機能)が検知した。この機能は、転倒を検知してから1分間動きを検知しないと自動的に緊急通報サービスに通知を送る。
「誰も私が転倒したことに気づかなかった」とOstvangさんは話す。「友人夫妻はパトカーが玄関前に停車するまで何も聞いていなかった」
Apple Watchからの通知を受け取った地元警察はOstvangさんの妻に連絡を取り、妻が警察に友人宅の住所を教えた。
Ostvangさんは「警察はGPSで私のおおよその位置は把握したが、何号室にいるか正確には分からなかった」と語る。
救急隊員がすぐに彼を最寄りの病院に搬送した。顔の3カ所が切れ、あごの骨が押し込まれていた。OstvangさんはApple Watchが自分の命を救ったとは言わないまでも、外科手術をしなくて済んだのはApple Watchのおかげだと認めた。
「可能な限り早く病院に行くのが重要だ。Apple Watchからの通知とそれを受けた警察のおかげだ」(Ostvangさん)
それはメリーランドでの、もうすぐクリスマスを迎える雨の金曜日のラッシュアワーのピークでのことだ。Kacie Andersonさんは、かごに寝かせた生後9カ月の息子、Parkerくんを後部座席に乗せて車で家に向かっていた。高速道路沿いの混雑した交差点で停止したとき、彼女の夫の車は数台後ろにいた。
「窓の外を見たちょうどそのとき、突然車体の左側に強い衝撃を感じた。私は頭をハンドルに打ち付け、反動でヘッドレストにも叩きつけられた後、サイドウィンドウにぶつかった」とAndersonさんは語る。
時速約100kmで走行していた飲酒運転者に衝突されたのだ。
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