Googleが、同社の実験的研究部門「Google X」によって開発された「Google Glass」を発表したとき、批評家たちは際限なくこの製品を嘲った。一般の人々は、サイボーグのようなデザインに興ざめした。厚いガラスの塊が片目の前に配置され、プロセッサーはメガネの分厚いフレームからつるにかかる部分に搭載されていた。この奇妙なデザインとプライバシーをめぐる激しい反発が原因で、Googleは2015年に消費者向けGoogle Glassの販売終了を余儀なくされた。現在では、主に倉庫の作業者や、そのほかのビジネス向けのツールとして利用されている。
Interaction Labの1D Eyewearプロジェクトは、Google Glassが失敗を犯してしまった最も重大な点を成功させることを目指して設計されたようだ。まずは、人々に装着したいと思わせる。目標は、必要最小限の要素だけをデバイスに搭載して、スタイリッシュな見た目をキープすること(ただし、1D Eyewearのプロトタイプでも、耳にかける部分がかなり厚くなっているように見える)。
「十分な容量のバッテリーに加えて、さまざまな電子部品や光学部品、画像を生成する部品も搭載する必要があるので、可能なインダストリアルデザインの選択肢が大きく限られる」。Olwal氏と同氏のチームは1D Eyewearについて説明するホワイトペーパーの中で、こう述べている。「したがって、装着性と見た目の柔軟性を損なうこうした制約によって、エンドユーザーが選べるスタイルのバリエーションは限定されてしまう」
Interaction Labが設計したのは、「Android」デバイスとペアリングして、ホログラムのアイコンと色付きの光を装着者の目に投影する、質素な見た目のサングラスだ。例えば、経路案内のアプリを使用している場合、左のフレームの上部で黄色の光が点滅し、装着者に左折するよう指示する。右折する必要があるときは、右のフレームの上部で光が点滅する。そのほかの通知は色分けされており、例えば、点滅する青色の光はカレンダーのリマインダー、黄色は「Gmail」の通知、緑色はチャットまたは電話の通知をそれぞれ意味する。
このメガネでは、レーザービームを使用して投影される16種類のホログラムも表示される。それらのホログラムは、「モバイルデバイスでよく使われるアイコン」の簡素な線画、とホワイトペーパーには記載されている。電話のアイコンもあれば、音量調節ツールのように見えるスピーカーのアイコンもある。どのように使うのかは明らかにされていない。
このメガネの開発はGoogleのほかのチームにも影響を与えているようだ。Google Glassプロジェクトが棚上げされた後、同社は失敗に終わったこのプロジェクトを「Project Aura」という新プロジェクトの下で再検討することにした。Project Auraは、GoogleのAdvanced Technology and Projects(ATAP)グループの管理下に置かれた。1D Eyewearのホワイトペーパーでは、エンジニアはGoogle Glass、Project Aura、およびXのチームを「共同研究者」として挙げている。1D EyewearはProject Auraに似ているが、Googleの広報担当者によると、この2つは無関係だという。
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