新しい「死」の形--デジタルで永遠の命は実現するか - (page 5)

Alison DeNisco Rayome (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2020年06月25日 07時30分
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 石黒氏は、自分が死んでも、ロボットに代わりに学生の授業を続けさせることができると述べている。しかしそれは決して本当の石黒氏自身ではないし、新しいアイデアを思いつくこともないと同氏は言う。

 「人間の意識をロボットに転送することはできません」と石黒氏は述べている。「思い出を共有することはできます。ロボットに『私は石黒浩です』と言わせることもできるでしょう。ですが、その意識は別のものです」

石黒氏とロボット
石黒浩教授(写真右)と同氏に似せて作られたロボット
提供:石黒浩特別研究所、ATR

 しかし、その境界線は曖昧になりつつある。

 「私は近い将来、ブレイン・マシン・インターフェースが登場すると思っています」と石黒氏は言う。この技術によって記憶の一部をコンピューターと共有できるようになれば、人間とコンピューターの境界線は曖昧になるかもしれない。

 「そうなれば、自分の意識がどこにあるかを判断するのは非常に難しくなるでしょう。果たしてそれは、コンピューター上にあるのか、自分の脳の中にあるのか?」と石黒氏は言う。「両方にあるのかもしれません」

 読者がどう思うかは分からないが、これはもはやSF映画ではないと石黒氏は話す。ただし、同様の話で「映画では、脳の記憶やその他の情報を人間からコンピューターにダウンロードしていますが、これはまだできません」と同氏は言う。「脳のコピーを作るためには別の方法が必要ですが、どうすればそれが可能になるのかは、まだ分かっていません」

 人間は「適者生存」という生物学の原理によって進化してきた。しかし石黒氏は、現在では、自分たちの遺伝子を改善したり、人間に似たロボットを開発したりする技術があると述べている。

 「もう、この世界で生き残るために、生物学的な原理に頼る必要はありません」と同氏は言う。「未来は自分たちで設計できるのです。ですから私たちは、人間とは何か、人権とは何か、どのように自分たちを設計するかについて、丁寧に議論していく必要があります。私はこれに答えることはできません。しかし、未来について考えることは私たちの務めです」

 「それはいつでも、最も大事な質問です。私たちはずっと、人間とは何かを追い求めているのです」と同氏は語った。「私にとっては、それが科学と工学の最も重要な目的です」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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