故人は空に--遺灰をロケットで打ち上げる「宇宙葬」を選ぶ人々

Abrar Al-Heeti (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年06月05日 07時30分

 凍えるほどの寒さの中でも、Steven Schniderさんはしばしば妻のChristineさんを外に連れ出して、一緒に夜空を見上げた。そして、「Heavens Above」というアプリを使って追跡した惑星や彗星、衛星など、あらゆるものを指さした。

 「彼はよく、『あれが見える?あそこにあるよ』と言って、その方向を見ると、夜空を横切るほんのかすかな小さな光だった。彼はとても興奮していた」。Christineさんは、そう振り返る。

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 2017年にStevenさんの死期が迫ったとき、家族の間で、彼を送り出す最もふさわしい方法は宇宙葬ということで一致した。娘さんがスマートフォンを取り出して素早く検索し、Celestisという企業を見つけた。

 2019年6月、Stevenさんの遺灰の一部は、150人を超えるCelestisのほかの顧客の遺灰と共にSpaceXの「Falcon Heavy」ロケットに搭載され、フロリダ州のケネディ宇宙センターから地球の軌道に打ち上げられた。Stevenさんの残りの遺灰の一部は、2022年に打ち上げ予定の「Luna 02」ミッションで搭載されることになっている。

 「彼は宇宙空間にいられることにとても興奮しているはず」(Christineさん)

 Stevenさんの家族のように、永眠の地として宇宙に目を向ける人が増えている。Celestisなどの企業は、遺灰を乗せて宇宙空間を飛行し、地球に持ち帰る「Earth Rise」サービスから、大気圏に再び突入して消滅するまで地球軌道に遺灰を残すコース、深宇宙まで飛ばすコースまで、さまざまな体験を提供している。料金は約2500ドル~1万2500ドル(約27万~約140万円)。このサービスの顧客には、SFドラマシリーズ「スタートレック」の生みの親であるGene Roddenberry氏や、宇宙飛行士のGordon Cooper氏などの著名人もいた。Aura FlightsElysium Spaceといった企業も同様のサービスを提供している。

 Celestisの共同創設者で最高経営責任者(CEO)のCharles Chafer氏によると、火葬が増えていること、そして文化や宗教の伝統が以前ほど重視されなくなったことにより、宇宙葬の人気がますます高まっているという。

 「『教会の家族墓地で祖父の隣に埋葬してほしい』という考え方は、移動の多い流動的な社会では通用しなくなってきている。人々はこれまでと違うやり方を求めている」(Chafer氏)

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