新しい「死」の形--デジタルで永遠の命は実現するか - (page 4)

Alison DeNisco Rayome (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2020年06月25日 07時30分

Augmented Eternity

 一方、「Augmented Eternity」と呼ばれる開発中のアプリは、将来の世代に知識を継承するために、人々がデジタルの形で生き続けられるようにすることを目指したものだ。コンテキストアウェアコンピューティングの企業FlyBitsの創業者兼CEOであり、MITメディアラボの客員研究員でもあるHossein Rahnama氏は、後継者への知識の継承を助け、知恵を求める人にその知恵を伝えるデジタル相続人の役割を果たすことができるソフトウェアエージェントを作ろうとしている。

 「ミレニアル世代が毎日数GBのデータを生み出している一方で、私たちの技術は、自分自身のデジタルコピーを作れる水準に達しています」とRahnama氏は言う。

 同氏によれば、Augmented Eternityは、特定の人物のデジタル記録(電子メール、写真、ソーシャルメディアの活動)を機械学習エンジンに取り込み、その人がどう考え、どう行動するかを分析して、実際の人物と同じような態度や反応を示すデジタル的な人物を生み出すという。このデジタル的人物との対話は、チャットボットの形式でも、Siriのようにデジタルアシスタントとしても、デジタル的に編集された動画としても、ヒューマノイド型のロボットとしても行うことができる。

 このプロジェクトの目的は、人間の日常生活から学ぶことだ。Rahnama氏は、目的は広告ではなく、世界の集団的知性を進歩させることにあると話す。

 「私は、デジタル世代を繋げるというアイデアも気に入っています」と同氏は付け加えた。「例えば、キャリアパスや健康状態やDNAやゲノム学の観点から私に似ている人々がいるとしましょう。その人々は私よりも30年か40年年上かもしれませんが、その人から学べることはたくさんあるでしょう」

 このチームは現在、プロトタイプを作っている。「Siriのように機械に話しかけて質問をするのではなく、自分の同僚や、知人のネットワークの中であなたが信頼している人をデジタル的に再現して、質問をすることができるのです」とRahnama氏は述べている。

コピーロボット

 大阪大学基礎工学研究科知能ロボット学グループの石黒浩教授は、これまでに30種類以上の人間そっくりのアンドロイドを作ってきた。その中には、石黒氏自身にそっくりなロボットもある。同氏は、人間とロボットの相互作用に関する研究のパイオニアであり、人間を再現する際の微妙な目の動きや、表情の重要性を研究している。

 「私の目的は、人間に近いロボットを作ることによって、人間とは何かを理解することです」と石黒氏は言う。「人間の重要な特徴が何かを知ることができれば、アルゴリズムを改良して、より人間らしいものにすることができます」

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