5月14日に発表された、KDDIの2020年3月期決算は、売上高が前年度比3.1%増の5兆2372億円、営業利益が同1.1%増の1兆252億円。第2四半期までは減益が続いていたものの、通期では増収増益を達成している。
好調な業績となった要因の1つは、主力のコンシューマー向けを主体とした「パーソナルセグメント」において、金融やエネルギーなど生活系サービスを主体とした「ライフデザイン領域」が順調に伸びていること。特に大きく伸びているのが「auじぶん銀行」などの金融事業で、金融・決済取扱高は6兆5370億円と、2022年度までの中期経営計画の達成目標としていた6兆円を1年で大きく超えるに至っている。
そしてもう1つは、法人向けを主体とした「ビジネスセグメント」の好調だ。こちらは既存の通信事業に加え、IoTなど新規領域の拡大が成長につながっているとのこと。売上高は9235億円と中期目標の33%に達したほか、企業のデジタルトランスフォーメーション拡大によって、IoTの累計回線数は1150万回線と計画を上回って推移しているという。
そして、さらなる事業拡大に向け、今回の決算発表に合わせて新たに打ち出された施策が、UQコミュニケーションズがKDDIのMVNOとして展開している「UQ mobile」事業を、10月1日をもってKDDIに承継するというものだ。UQ mobileはすでに実質的なKDDIのサブブランドとして機能していただけに、今回の措置はその関係を自然な形に整理したものといえそうだ。
KDDIの代表取締役社長である高橋誠氏は、UQ mobileの統合に至った理由について、顧客の多様化が進んでいることから複数ブランドで対応した方が自然なアプローチができると判断したためと説明した。今後は、auブランドと営業・販売のチャネルを統一化することで、大容量を求める人にはau、低価格を求める人にはUQ mobileといったように、ニーズに合ったブランド商品を提供していくこととなるようだ。
また2020年度の業績予想は、売上高は5兆2500億円、営業利益は1兆300億円と、今年度と同水準を見込むとしている。その理由はやはり新型コロナウイルスの影響によるところが大きく、「コロナがなければもう少し上の業績予想だった」と高橋氏は話している。
具体的な影響としては、ショップの時短営業による販売減や、自宅待機によりスマートフォンでもWi-Fi経由で固定通信を利用する機会が増え、モバイルデータ通信が減少傾向にあることなどがマイナスの影響として出ているという。ただ、一方で固定通信の需要は伸びているほか、テレワークの拡大により法人事業で新たな開拓が見込めることから、プラスの要素を引き出して業績を拡大していきたい考えのようだ。
5Gに関してもソフトバンクと同様、一部に工事の延期などは出ているものの、現在のところ計画に大きな影響してはいないという。それだけに、UQ mobileの統合による契約の拡大と、従来の好調な枠組みの維持で新型コロナウイルスの影響をどこまで乗り越えられるかが、業績を維持・拡大する上で重要なポイントとなりそうだ。
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