NTTドコモは4月28日、2020年3月期の決算を発表した。営業収益は前年同期比3.9%減の4兆6513億円、営業利益は前年同期比15.7%減の8547億円と、減収減益の決算となった。
減収減益の要因は、「ギガホ」「ギガライト」といった新料金プランの導入などによる顧客還元と、端末機器販売収入の減少によるところが大きく、2019年10月に実施された電気通信事業法改正の影響を強く受けた形となった。ただし、同日に実施された決算説明会で、同社の代表取締役社長である吉澤和弘氏は「減収減益決算だが、利益は年間予想を上回って着地した」と、当初予想の範囲内との認識を示した。
セグメント別の実績を見ると、通信事業は営業収益が前年同期比2901億円減の3兆6870億円、営業利益が1598億円減の7065億円と、顧客還元の影響を強く受けていることが分かる。
しかしながら、携帯電話の契約数は前年同期比2%増の8033万と初めて8000万を超え、解約率も0.54%、うちハンドセット解約率が0.44%と、非常に低い水準を維持するなど足元は好調な様子を見せる。また新料金プランに関しても、契約数が3月31日時点で1651万、4月17日には1700万契約を突破するなど、好調に伸びているという。
一方のスマートライフ領域は、営業収益が前年同期比1082億円増の9977億円、営業利益が前年同期比8億円増の1481億円と増収増益となったが、営業利益の年間予想は1600億円だったため予想には届かなかったとのこと。
その理由について吉澤氏は、スマートライフ事業の動向を挙げており、NTTぷららの子会社化などにより増収となった一方、スマートフォン決済の「d払い」や、「DAZN for docomo」など映像系サービスの販促費用が増えたことで減益となったと説明した。
ただし、金融・決済サービスについては取扱高が5兆円を突破し、特にキャンペーンなどが功を奏して、d払いの取扱高は前年同期比3.2倍の3990億円と急増。金融関連の事業は好調に伸びており、販促のための投資が成果にも結び付いているようだ。
吉澤氏はさらに、新年度となる2020年度に向けた取り組みについても説明。2020年代の成長に向け3つの軸を掲げ、その実現に向けてデジタルトランスフォーメーションによる業務効率化を実現させるといった構造改革を推し進める考えを示した。
3つの軸の1つは、店頭やウェブでの顧客体験向上やdポイントの魅力向上、5Gの早期展開といった「顧客基盤のさらなる強化」。2つ目は、7500万を超えるdポイントクラブの顧客接点を強化し、金融やデジタルマーケティングなどの事業強化へと結び付ける「会員を軸とした事業運営の本格化」。3つ目は、パートナーとの協創によるソリューション展開などを軸とした「5G時代の新たな価値創造」となる。
それらの実現に向けて重要とされているのが、3月25日にサービスを開始した5Gの利用拡大に向けた取り組みである。2020年度はミリ波の展開や、普及価格帯の5G対応デバイスの拡大といったハード面の整備に加え、オンラインで楽しめるライブやスポーツなどサービスの価値追及、そして遠隔医療、オンライン学習など、新型コロナウイルスの影響でリモート化が進む社会活動の変化に貢献できる価値創造を進めるなど、ソフト面での充実も図っていく考えを示している。
また吉澤氏は、5Gの契約者拡大に向けた具体的な計画も説明した。2019年度末時点での5G契約数は1.4万人、現時点では4万人弱で約半数が「5Gギガホ」を選択しているとのことだが、2020年度には約250万契約、2023年度には2000万を目指すとのこと。5Gエリアに関しても、2021年3月に政令指定都市を含む500都市に展開し、2021年6月には1万局、2022年3月には2万局を展開するとしている。
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