フォースタートアップスは4月28日、国内スタートアップ・ベンチャー企業の情報を集約したプラットフォーム「STARTUP DB」において、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によるスタートアップへの影響を調査。その結果を発表した。
この調査では、2019年と2020年における国内スタートアップの資金調達額を比較し、日本のスタートアップ企業への投資状況などにどういった変化が起こっているのかを調査している。
1月から4月20日を対象期間として、資金調達を実施した企業数と総資金調達額を比較した。それによると、2020年に入ってからは、前年に比べて資金調達する企業が全体的に減少。新型コロナウイルスの影響が拡大する以前である1〜2月でも前年に比べて企業数は少ない傾向にあることがわかった。
資金調達金額としては、前年に比べて3月に大幅に下がっていることが判明。また、2019年1月から4月20日の総調達額1662億円に比べて、2020年1月から4月20日は総調達額1430億円となり、総調達額が232億円減少している。この減少は、2019年にJOLEDのINCJからの調達、LINE証券、Paypay、メルペイなどの親会社からの大型調達が含まれたことによって生まれた差によるものと考えられるという。
これらの結果、同社では新型コロナウイルスの影響はあるものの、現時点(4月20日時点)ではスタートアップにおける資金調達金額に大きな増減はなく、実態はまだあまり累が及んでいないものと考えられると結論付けた。
また、2020年の投資件数からみる積極的な投資家の内訳として、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタルなどの金融系ベンチャーキャピタル(VC)が上位を占めており、2019年通年と比べて大きな変動はない。このような状況下でも、積極的な投資家たちはスタートアップへの投資を継続していることがわかる。
新型コロナウイルス感染症に対し、取り組みを行っているファンドや企業の動向としては、VCの業界団体である日本ベンチャーキャピタル協会がスタートアップの支援を求める要望を政府に提出。スタートアップに特化した資金繰り対策や、感染症の治療や終息後の社会に貢献する企業への支援を求めるなど、経済や企業への打撃を考慮し、支援に動き出そうとしている。
なお、日本経済新聞が計30社のVCやCVCに対して実施したアンケートによると、現時点では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮しつつも、積極的な投資方針を採ると答えたVCが8割を占める結果となった。その理由として、ファンドの資金集めをすでに終えていることや、株価を下げて資金調達する企業が増えると予想され、投資に割安感があることを挙げている。
このほか、3月以降にも、Coral Capitalやエムスリー、グローバル・ブレインなどが新たにファンドを設⽴。先⾏きが不透明になり、経済成⻑が鈍化している中でも、各VCや事業投資会社は、既存・新規投資先に対して⽀援を拡⼤している。また、ANRIやマネーフォワードシンカなどが、オンライン完結型で出資したり、ビデオミーティングを活⽤した資⾦調達相談を開催するなど、今後の新たな資⾦調達の形を模索する取り組みも増えているという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」