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書店とコワーキングスペースは親和性が高い--出版取次のトーハンが新事業に乗り出す狙い

佐藤和也 (編集部)2020年03月26日 15時56分
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 「HAKADORU虎ノ門店」のパーソナルスペース。

 「HAKADORU虎ノ門店」のパーソナルスペース。

 出版物の取次販売などを手掛けるトーハンは、新規事業となる時間課金制のカフェ型コワーキングスペース「HAKADORU」の展開を開始。1号店となる「HAKADORU虎ノ門店」を3月26日にオープン。それに先立ち内覧会が行われた。

 HAKADORUは「気軽に使えて短時間で仕事が“ハカドル”環境」をコンセプトとし、カフェの利便性やサービスクオリティとコワーキングスペースの集中環境を両立させたものとしている。

カフェとコワーキングスペースのいいとこ取りを狙ったのがHAKADORU
カフェとコワーキングスペースのいいとこ取りを狙ったのがHAKADORU

 虎ノ門店では、パーソナルスペース40席や、6~8人に対応する会議室のほか、フォンブースなども用意。Wi-Fiや電源などの基本的な環境を備えているほか、コートや大きな荷物を預かるクロークサービス、ロッカーといった設備もあり、仕事に集中できる環境となっている。

 料金は最初の20分が200円で、以後20分ごとに300円。非会員制となっているため、気軽に利用しやすくなっている。また会議室は1時間3000円から(いずれも税別)で、こちらはウェブからの予約に対応。空きがあれば当日の利用も可能となっている。

 特徴的なサービスとしては、書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」が、書籍を10~20冊程度をセレクトし、HAKADORU内に設置。書籍を読めるだけでなく、その場で購入も可能となっている。またHAKADORUからのWi-Fiアクセスで、SERENDIPの無料体験も可能となっている。

 またワークチェアのセレクトショップ「WORKAHOLIC」がセレクトした18種類の最先端のワークチェアや、幅1メートル以上のパーソナルスペースを確保したデスクも設置。トーハングループで文具・雑貨の商品企画などを手掛けるDELFONICSが文具や雑貨も店内に用意している。

 そして、スズアコーヒーとコラボによる、オリジナルブレンドをプレミアムコーヒーとして用意。集中と発想をコンセプトにした2種が用意され、利用者は100円、利用しなくてもテイクアウトが可能で150円(ともに税別)となっている。

書店とカフェの併設よりもコワーキングスペースのほうが親和性は高い

 内覧会のなかで、トーハン 専務取締役の小野晴輝氏と、同複合事業本部マネジャーの岩崎暁太氏が、コワーキングスペース事業を展開する背景や狙いについて説明した。

トーハン 専務取締役の小野晴輝氏(左)と、同複合事業本部マネジャーの岩崎暁太氏(右)
トーハン 専務取締役の小野晴輝氏(左)と、同複合事業本部マネジャーの岩崎暁太氏(右)

 前述のように、トーハンは出版物の取次販売を主力事業として展開。一方、出版物の売り上げは右肩下がりで減少を続けており、書店も減少傾向にある。こうしたなかで、「リアルな空間で、出版物を展開し、書棚を独自に編集して読者にいろいろな視点を提供するという、その空間の持つ意味は今日でも変わってない」(小野氏)と、社会における書店の機能や本質は希薄化していないと強調する。そしてこの状況を踏まえ、書店の営業形態を変えていく必要があると背景を説明した。

 そのなかでコワーキングスペース事業を始めた理由として、働き方改革やテレワークなどにともない、市場規模の拡大が見込めるというのもあるとしたが、もうひとつ“書店との親和性”を挙げた。

 書店では単体だけではなく、さまざまな事業と併設して展開しているものもあり、特にカフェとの併設が珍しくない状況ではあるが、店内調理をともなうカフェは設備投資や人的負荷など経営的に重くのしかかるものであり、一般的な書店が乗り出しにくいと指摘。それであればコワーキングスペースのほうが、初期投資はかかるものの運用コストはカフェより抑えやすいこと、利用者に対してもカフェで作業している人が少なくないなかで、仕事をする上での機能や設備が充実しているほうが使いやすいものになると、その狙いについて説明した。

 今後について、スマートフォン向けアプリを通じてのクーポン付与や、若年層に向けたテレワーク応援キャンペーンなども展開する予定。出店については、虎ノ門でのオープンを皮切りに、6月下旬には新宿エリアに、7月上旬には書店併設型の店舗を開設する予定。そして2年間で都心部を中心に10店舗を展開する計画。事業の成長性などを見極めつつ、好調であれば地方も含めて拡大していく考えとしている。

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