新型コロナウイルスと戦うため、米国の産学官が手を組み、世界最速のものを含むIBM製スーパーコンピューター16台を研究者に開放した。また、Amazon、Microsoft、Googleもクラウドコンピューティングに必要なリソースを提供する。この取り組みは「COVID-19 High Performance Computing(HPC)Consortium」と呼ばれるコンソーシアムが実施するもので、新型コロナウイルスの拡散予測や医薬品のモデリングなどに携わる研究者らが参加できる。
「コンソーシアムのパートナー間でスーパーコンピューターの処理能力を共有することで、(中略)この世界規模の緊急事態への対処と状況の緩和に取り組む科学者、医学研究者、政府機関にスーパーコンピューターの並外れた能力を提供できるようにした」と、IBM ResearchのディレクターDario Gil氏は発表の中で述べた。
建物のフロア全体を占め、1つの町と同じくらいの電力を消費することもある巨大なスーパーコンピューターは、核兵器の爆発、世界的気候変動の影響、宇宙の物理現象をシミュレーションするといった研究に活用されている。また、新型コロナウイルスが急速に拡散し、その結果COVID-19のパンデミックが発生している中で、きわめて重要な役割を担う創薬などの医学研究にも役立つ可能性がある。
今回の取り組みで提供される巨大コンピューターのうちいくつかはIBMが開発したもので、その1つがローレンス・リバモア国立研究所にある「Lassen」だ。このスーパーコンピューターは、3万4848基のIBM製「Power9」プロセッサーコアと3168基のNVIDIA製GPUを搭載している。
だが、それ以外にもさまざまな種類のマシンが今回のプロジェクトに関わっており、クラウドコンピューティングサービスのトップ3であるAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudの処理能力も活用される。こうしたサービスは膨大な演算能力を提供するが、異なる複数の場所にあるマシンに広く分散して構築されていることが多く、スーパーコンピューターが1つの施設内で提供しているような超高速のデータ接続は実現できない。
現時点で世界最速のスーパーコンピューターであるIBMの「Summit」は、COVID-19の感染を防止する薬を開発するための研究ですでに使用されており、8000種類の化合物をスクリーニングしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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