MotorolaのRazrは、サムスンの折りたたみ式の2機種目となるGalaxy Z Flipを大きくリードするはずだった。当初の発売予定は2019年の夏だったが、それを秋まで先送りにした。さらに遅れが出て、最終的には2月6日までずれ込み、サムスンのGalaxy Z Flip発表の5日前となった。驚くことに、Galaxy Z Flipは、サンフランシスコで華々しく開かれた「Unpacked」イベントで同モデルが披露されたわずか3日後に店頭に並んだため、Razrが販売を先行できたのは、1週間あまりだった。
Galaxy Z Flipは基本的に、Razrがうまく成し遂げたことを随所で真似ている。特に、折りたたみ式携帯電話のハイテク版へと変身させた、クラムシェル型のデザインがそうだ。一方、Razrで不評だった点は避けている。スペックとしては、Galaxy Z Flipの方がプロセッサーが高性能で、背面カメラは2基。Android 10を搭載し、バッテリー容量が大きく、ストレージもRazrの2倍だ。しかも、Galaxy Z Flipはガラスを採用している。
Razrは、機能面で見劣りするだけでなく、耐久性についても懸念がある。Inputのライターによると、同サイトが所有するRazr端末は折りたたみ部分に剥離が生じ、ディスプレイパネルとそれを覆うラミネートフィルムの間に、大きな気泡が水平に入っているという。しかもこの損傷は、厳しい耐久性テストを実施した結果ではなく、ジーンズの前ポケットに入れてニューヨークの地下鉄に45分間乗っている間に起きたとしている。
Galaxy Z Flipの最初に開いて損傷したケースと違って、MotorolaはそのRazar端末の不具合について検証していない。それでも、同社はRazrのディスプレイに「万全の信頼」を寄せているとしており、購入したRazrで通常使用による剥離が起こるとは考えていないという。
「開発プロセスの一環として、Razrは製品ライフサイクルをシミュレートして徹底的な耐久性テストを実施している。Inputで報告されている事例は、その耐久性テストでも生じておらず、これ以外に報告されている事象は今のところない。問題の端末を詳細に分析する機会がないため、これ以上の情報は提供できない」(Motorola)
一方、ファーウェイは、スペインのバルセロナで現地時間2月24日、「Mate X」の第2世代となる「Mate Xs」を発表。Mate Xと違って、中国以外でも販売する。予定価格は約3000ドル(約32万円)と、実際に購入できる層はかなり限られそうであり、しかも中国と米国の政治的なあつれきの影響で、米国では発売される見込みは少ない。
サムスンは2020年、Galaxy Foldの後継機のほか、また別のデザインも発表する可能性が高い。TCLは、いずれ実現するかもしれないプロトタイプを発表しており、ほぼすべてのスマートフォンメーカーが、折りたたみ式技術を模索している。今でこそ市場シェアは小さいが、折りたたみ可能ガラスやその他の部品がもっと進歩すれば、折りたたみ式は数年でスマートフォンの標準的な形になるかもしれない。
とはいえ、今のところ、折りたたみ式が完成を見る日はもう少し先のことになりそうだ。
2020年に入ってから登場している折りたたみ式スマートフォンも、「Galaxy Foldほど問題があるわけではない。だが、市場の懐疑的な見方を強めたことは確かだ。折りたたみ式端末を求めて人が殺到するようなことにはなっていない」。Creative StrategiesのアナリストのCarolina Milanesi氏はそう指摘している。
この状況がいつ変わるのか、そもそも変わるのかどうかは、今後を見守ることにしよう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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