ほとんどの企業は、折りたたみ式スマートフォンをまだ扱ってさえいないが、サムスンは2モデルを展開している。Galaxy Z Flipは、折りたたみ式携帯電話の超ハイテク版のようなもので、折りたたみ可能なガラス製のディスプレイが内側に来るが、Galaxy Foldは外側に開くと、大きいタブレットになるスマートフォンという位置付けだ。
今のところ、Galaxy Z FlipではGalaxy Foldにあったような問題は起きていない。600ドル安く、スクリーンは基本的に、スマートフォンを折りたたんで閉じる方がメインなので、アプリの互換性についてもあまり問題はない。そしてサムスンは、Galaxy Foldの出荷を5カ月遅らせることになった画面の問題から学習し、Galaxy Z Flipの耐久性をさらに引き上げた。
大きな改良点が、新しい折りたたみ可能なガラス画面なのだが、何かと議論を呼んでいるのがこの部分だ。発売されてからまだ間もないが、そのディスプレイは、市場に出回っているほかのデバイスにない特徴として称賛されている。だがその一方で、現在のほとんどのスマートフォンに搭載されている通常のガラスほどの耐久性がないとの批判も出始めているのだ。
Galaxy Z Flipの超薄型ガラスは、ディスプレイ全体を覆う、ごく薄い1層(正確に言うと30ミクロンつまり0.03mmの層)にすぎない。Corningの「Gorilla Glass 6」は、1mの高さから15回の落下に耐え、ハイエンドスマートフォンの多くで採用されている。厚さは今のところ0.4~1.2mmだが、今後1、2年のうちに登場するデバイスでは0.1mmになるという。
Galaxy Z Flipのガラス画面が既に議論を呼んでいる原因が、この薄さと、そしてガラスの層とは別のプラスチックのような層にある。「JerryRigEverything」というYouTubeチャンネルを運営するZack Nelson氏は、一連の耐久性テストを行い、その結果に落胆したとしている。それによると、本物のガラスであれば通常、跡が残らないはずだが、Galaxy Z Flipの画面には爪でも引っかき傷を残すことができたという。Nelson氏はこの画面が本当にガラスなのかと疑問を呈した。本物のガラスには違いないが、それでもプラスチックのような性質なのだ。
サムスンのディスプレイ事業部は、Galaxy Z Flipのディスプレイについてプレスリリースを発表し、ドイツ企業のSchottが、このディスプレイに組み込まれているガラスをサムスンに提供したと認めた。
もうひとつの問題は、Galaxy Z Flipをいち早く購入したユーザーのひとりから報告されたもので、最初に開いたときに、画面のヒンジのあたりにひびが入ったという。この報告から、Galaxy Z Flipも、Galaxy Foldと同じように製造および設計に問題があるのではないかという懸念が生じることになった。Galaxy Foldのときは、レビュー用端末で画面の損傷を発見したという一部のレビュアーの報告を受け、サムスンはこの1980ドル(約21万円)の端末の出荷を5カ月遅らせた。
これまでのところ、Galaxy Z Flipを購入したユーザーから報告された問題はこの一例だけだと見られている。「調査の結果、これは問題になった端末固有のケースであり、このお客様の端末は既に交換した」と、サムスンは報告している。
Galaxy Z Flipは、米国では発表から5日以内で売り切れた。1週間後の2度目の出荷分も、既に売り切れている。
「Galaxy Z Flipに対する消費者の反応は、驚異的というしかなく、われわれの予測を上回っている」とサムスンは述べた。
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