ロボットが変える農業の未来--オハイオの屋内農場「80 Acres Farms」を訪問 - (page 3)

Megan Wollerton (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年02月19日 07時30分

 80 Acres Farmsにとって最後のハードルは、社内で梱包される商品の売り方だ。この点に関しては、同社を動かしているテクノロジーに頼らず、味を重視している。「店舗で積極的にサンプリングを実施している。味が分かれば、それで納得してもらえるはずだからだ」。そう説明したのは、同社のクリエイティブおよびマーケティング担当バイスプレジデント、Rebecca Haders氏だ。今回の訪問でも、筆者たちに随伴してくれた。

 作物の味が良くなければ技術に全く意味がないのは当然だが、Zelkind氏、Livingston氏、Haders氏はいずれも、口をそろえてこう話す。普通のスーパーに並んでいる野菜と、80 Acres Farmsの野菜は、本当に「味の違い」が感じられるのだ、と。

 筆者も、シンシナティダウンタウンのKrogerで、80 Acres Farmsが供給している「Fireworks Tomatoes」というのを1箱買ってみた。確かにおいしかった。普通のスーパーのトマトより味は良い。だが、地元のファーマーズマーケットで売っている、特に新鮮で風味のいい野菜と比べると、同じくらいだった。

80 Acres FarmsはシンシナティにあるKrogerの店舗に専用の生産者コーナーを持っている
80 Acres Farmsは、シンシナティにあるKrogerの店舗に専用の生産者コーナーを持っている
提供:Tyler Lizenby/CNET

 ひとつ問題なのは、価格だ。80 Acres Farmsのチェリートマトは、9オンス(約255g)のパックが3.99ドル(約440円)だった。Krogerブランドの普通のチェリートマトは、10オンス(約280グラム)のパックで2.49ドル(約270円)、同じKrogerの「Simple Truth」ブランドのチェリートマトでも、10オンスのパックは2.99ドル(約330円)だ。Whole Foodsは、高めの価格で知られているが、それでも箱入りのトマトは80 Acres Farmsより安い。

80 Acres Farmsの「Fireworks Tomatoes」(花火トマト)
80 Acres Farmsの「Fireworks Tomatoes」(花火トマト)
提供:Megan Wollerton/CNET

 80 Acres Farmsのトマトは他のトマトよりも美味しかったが、筆者だったら、買い物に行くたびに1ドル以上多く払う気にはならないだろう。予算にうるさい消費者が、いや、どんな消費者だろうと、値段の高い野菜は買わないのではないか、と訊ねてみた。Haders氏から返ってきたのは、値段を決めるのは80 Acres Farmsではなく小売店だから、という答えだった。

 「一貫して味が良く、真に無農薬、産地直送積みたてのトマトをお客様が高く評価してくれていることは、お客様からの声で分かっている。価格は今のところ、地元の有機野菜と同じくらいだが、規模の効率性を進めて、品質、新鮮さ、味を落とさずに価格を引き下げていくつもりだ」、とHaders氏は付け加えた。

 味を重視しているのは間違いないが、実際のところZelkind氏とそのチームが深いところで大切にしているのは、技術だ。技術こそ、80 Acres Farmsがこれほど急成長した要因だからである。そして技術は、食品業界の抜本的変革に伴う課題を解決する重要な要素でもあるのだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]