「火星移住」に向けた4つの実験プロジェクト--野菜栽培からビール造りまで

Erin Carson (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年07月24日 07時30分

 最後の有人月面着陸から46年が経過した今、人類はあと10年程度で火星に着陸できそうなところまで来ている。

 何世紀も前の大探検時代と同じように、火星の探査にも何年もの歳月を要するだろう。地球の軌道に対する火星の位置関係によっても変わるが、火星に到達するまで約9カ月かかると言われている(その説が最も有力だ)。だが、到達は始まりに過ぎない。火星着陸の先駆けとなる宇宙飛行士たちは、火星と地球の軌道の条件がそろうまで、500日を火星で過ごした後、再び9カ月をかけて地球に帰還しなければならないとされる。それでは、宇宙飛行士たちに必需品を供給し続け、宇宙での健康を維持するために、何が必要なのだろうか。

 手短に言うと、あらゆること、である。

 米航空宇宙局(NASA)の研究者やさまざまな企業が、栄養のある葉物野菜の栽培やスペアパーツの製造、飲料の生成を宇宙空間で可能にする技術や、さらには自己修復技術の開発に取り組んでいる。宇宙飛行士が外部からの支援なしに何年も生存できるようにするためだ。

 その進捗状況はさまざまだが、その全てが、無重力環境では困難な作業を完遂する上で、重要な役割を果たす。

 「われわれが実際に火星に着陸する日は、素晴らしい日になるだろう。しかし、そこに至るまでには、多くの作業が待ち受けている」。NASAのテストディレクターのRalph Fritsche氏は、そう語った。

 本記事では、人類が火星で生存、さらには繁栄していくために役立つかもしれない、興味深い宇宙実験をいくつか紹介する。

生野菜を食べる

 米国人宇宙飛行士として初めて地球周回軌道を飛行したJohn Glenn氏が、宇宙でチューブに入ったアップルソースを食べていた1962年に比べると、人類は長足の進歩を遂げている。

 当時、科学者たちには、人間が宇宙空間で食べ物を飲み込めるのかどうかが分からなかった。ましてや消化できるのかどうかなど見当もつかなかった。

 ベビーフードを食べるのにこれほど大きなリスクが伴うことは、それまでなかっただろう。

 そして、数十年間にわたって微小重力環境に食料を提供してきた研究者らの次なるタスクは、宇宙空間で新鮮な食料を提供することだ。NASAが「Vegetable Production System」(野菜栽培装置、通称「Veggie」)を開発したのはそのためである。2014年以降、国際宇宙ステーション(ISS)では、LED照明を備え、土と焼成粘土、放出制御式の肥料、種子が入った袋の下に貯水槽が設置されたこの栽培装置を使用している。

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Veggieで育つ野菜
提供:NASA Johnson

 NASAによると、「おいしくて栄養があり、安全で新鮮な食品の供給源となるもの、そして息抜きや気晴らしを与えるようなツールを乗組員に提供すること」が目標だという。

 これは「自家栽培」の新たな形といえるかもしれない。

 これまでのところ、Veggieは赤いロメインレタス、キャベツ、カラシナ、ヒャクニチソウを栽培するために使用されている。最初に収穫されたレタスは凍結され、有害な微生物や細菌の有無を確認するために地球に送り返された。幸い、宇宙サラダは安全に食べることができる。

 「(宇宙飛行士たちは)帰還すると、『ピザやチーズバーガーが恋しくなると思っていたが、最初に食べたくなったのはサラダだった』とよく話してくれる」。Veggieサイエンスチームを率いたNASAのプロジェクトサイエンティストであるGioia Massa氏は、このように述べている。Massa氏によると、NASAは今秋、トマトを栽培する予定だという。

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2015年8月、ISSで収穫した野菜を食べる宇宙飛行士のScott Kelly氏(右)とKjell Lindgren氏(左)
提供:NASA Johnson

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