Zelkind氏は、屋内農業の先駆者たちを高く評価しているが、そこに決定的に欠けていたものこそが、80 Acres Farmsを差別化する特色になっていると話している。Zelkind氏とLivingston氏は、2人合わせて食品業界で50年以上の経験を持っているということだ。
Zelkind氏は、1991年から1996年まで大手食品会社のGeneral Millsに勤めていた。その後、ConAgra Foods、Bumble Bee Foods、AdvancePierre Foodsでバイスプレジデント、シニアバイスプレジデントを歴任。Livingston氏と共同で80 Acres Farmsを創業する前には、Sager Creek Vegetable CompanyのCEOを務めた。
一方のLivingston氏は、Pierre FoodsおよびAdvancePierre Foodsに1995年から2014年まで勤めたのち、Sager Creek Vegetable Companyでバイスプレジデント、次いで最高執行責任者(COO)の任にあった。
2人は長い間、食品業界の体系的な問題を、当事者として目撃してきた。長期的なプラスの変化が起きるには3つのことが必要だ、とZelkind氏は話す。作物の育て方を変え、サプライチェーンと流通経路を変え、売り方も変えなければならないのだという。
80 Acres Farmsにとっては、「作物の育て方を変える」ことが、すなわち屋内農業だった。
屋内農場なら、1年中、害虫を駆除する農薬を使わずに作物を育てることができる。商業的農業でも有機農業生産でも使われる合成農薬または天然農薬についての懸念や、従来の屋外農業に伴う季節性の問題もたちまち解決する。干ばつや洪水など、気候変動による気象関連の問題に悩まされることもない。
「たとえ育て方を変えても、破綻したサプライチェーンに頼ったままではだめだ」、とZelkind氏は付け加える。トマトやイチゴは、輸送を考慮して育てられる。米国の食料品は、産地から食料品店の店頭まで、平均で少なくとも3200km以上は移動しなければならない、と同氏は説明している。
トマトやイチゴは特に傷みやすいので、熟す前に収穫される。それも、3200km以上の移動を経て消費者の手元まで無事に届けるためだ。そうした輸送時間を考慮に入れると、離れた店頭に並ぶ青果の日持ち期間は、食べ頃ちょうどに収穫されて、近くの地元の店に並ぶ場合より、はるかに短くなってしまう。
80 Acres Farmsは、農場を店舗の近くに置き、現在は6つの施設がフル稼働している。アラバマ州、ノースカロライナ州に1カ所ずつ、アーカンソー州とオハイオ州に2カ所ずつで、筆者が今回訪れているのも、オハイオ州にある施設のひとつだ。
社名に使われている「80 Acres」は、同じオハイオのもうひとつの方の農場に由来しているという。4分の1エーカー(約0.1ヘクタール)の土地で、80エーカー(約32ヘクタール)相当の作物を栽培しているのだ。
オハイオの農場は、Kroger、Whole Foods、Jungle Jim's、Dorothy Lane Marketなど地元のスーパーに商品を供給している(Dorothy Lane Marketは、オハイオ州デイトンに本拠を置くチェーン店で、ちなみに筆者はここのブラウニーが最高だと思っている)。
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