2010年代を代表するIT界の30人を3回にわたり紹介するシリーズ。今回は上編に続いて中編をお届けする。
2010年代の重要なイノベーションの1つであるゲノム編集に関しては、「CRISPR/Cas9」と呼ばれる(覚えにくい名前の)技術が鍵になっており、Doubdna氏はこの分野で先駆的な役割を果たしている。この新しいツールは、生物学、医学、農業などの分野に革命を起こす可能性を秘めている。
カリフォルニア大学バークレー校のDoudna氏の研究室は、CRISPRの応用技術を商用化するための営利目的のベンチャー企業をスピンオフした。また最近のDoudna氏は、現在進んでいる将来の遺伝子工学の倫理に関する議論をリードする存在になっている。
#MeToo運動は2017年の初めにIT業界やその他の業界を席巻したが、この運動にはFowler氏の個人ブログが大きな役割を果たした。このブログは、同氏がソフトウェアエンジニアとして働いていたUberの社内で、実際にあったセクシャルハラスメントや不当な扱いを記録したものだ。その結果、Uberの権力構造は揺らぎ、同社の創業者であり、最高経営責任者(CEO)を務めていたTravis Kalanick氏は、その地位を退くことになった。2020年には、Fowler氏の回顧録「Whisteblower」が出版される予定だ。同氏は現在、New York Timesのオピニオン欄を担当している。
このパワーカップル(双方が有力なキャリアを持つ夫婦)は、Bill Gates氏が私たちがよく好んで悪口を言うソフトウェアスイートを作って得たお金を、慈善事業の帝国に変えた。500億ドルの基金を持つ慈善団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団は、米国での教育に加え、グローバルヘルスや各国の開発を促進する取り組みに多額の資金を投じている。Bill Gates氏は、この財団は子どもの死亡率低下に大きな役割を果たし、1億人以上の命を救ったと述べている。同氏は定期的に読むべき文献のリストを発表することでも知られており、Melinda Gates氏は世界の女性のエンパワーメントをテーマにした書籍で著者としてもデビューした。
Holmes氏のエピソードは、20年近く前にMichael Fenne氏(本名:David Kim Stanley)が起こしたPixelon事件のように、誇大広告が現実的な技術から切り離されてしまった時に何が起こるかを教えてくれる訓話を提供してくれている。
同氏はわずか数年の間に、自ら立ち上げたスタートアップTheranosと、結局は完成していなかった血液型検査技術を、関心の対象から投資の対象に育て上げたが、その後この2つは捜査の対象に変わった。現在のHolmes氏はいくつもの詐欺罪で起訴されており、今後懲役になる可能性がある。
この10年間は、Jobs氏が2010年1月に発表した「iPad」で始まった。同氏が亡くなったのは、それから約2年後の2011年10月のことだった。「iPhone」で人々の生活を変えたAppleは、今も資本主義の歴史の中で最も象徴的であり、企業価値が高い企業の1つだ。Jobs氏の業績は死後も常に話題になっており、複数のハリウッド映画が作られたほか、Walter Isaacson氏や、Jobs氏の娘であるLisa Nicole Brennan-Jobs氏が書いた伝記もベストセラーになっている。
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