「饗宴(きょうえん)の儀」に続いて「大嘗祭(だいじょうさい)」も終わり、いよいよ本格的な令和の時代が始まった。
思えば、平成の30年間はPCやスマホなどデジタル・メディアの普及で、投資家向け広報(IR)が広く定着した時代だった。デジタル・メディアといったが、いまはモバイル・メディアの時代といっていい。
というのも、ネット動向の分析で名高い米アナリストのM・ミーカーの調査によれば、大人の1日あたりのネット利用時間は、2018年でモバイル(3.6時間)はデスクトップ(2.0時間)の1.8倍になっているからだ。
米調査会社ブランズウィックが2019年1月に発表した「デジタル/ソーシャル・メディアの利用」は、米国や英国、そして欧州・アジアの主要な機関投資家や証券会社のアナリストを対象にしたアンケート(回答318人)の報告だ。
これによると、①回答の98%が「問題の調査」で、デジタル/ソーシャル・メディアで入手し、②88%が「投資の判断」に利用しているという。「投資の判断」での利用は3年前に比べ倍増している。
機関投資家やアナリストが、なにか調べるときは、まず「検索エンジン」(81%)、次に「ブログ」(73%)。3つ目が「ウィキペディア」(56%)となる。
投資の判断でも「検索エンジン」(63%)と「ブログ」(61%)はトップを占める。「ウィキペディア」(32%)は「ツイッター」(35%)と同じぐらいの利用だ。その「ツイッター」は調べもののときに利用する(55%)といい、「ウィキペディア」と肩を並べている。投資の判断という点では、「金融関連のポッドキャスティング」(38%)の利用が多い点も見逃せない。
報告は、さらに「投資家やアナリストはデジタル/ソーシャル経由でCEO(最高経営責任者)の話を聞きたがっている」と指摘している。機関投資家の半数(49%)が、CEOが何を語っているのかを知るためにデジタル/ソーシャル・メディアを利用しているというのだ。2018年(28%)比で21ポイントも増加している。
では、企業のCEOたちは、どんなSNSメディアで発信しているものだろうか。同じブランズウィックが今年6月に発表したリポートがある。
米国S&P500と英国FTSE350の採用企業のCEO790人によるSNS経由の発信を調査(英米の社員4,000人、金融メディアの読者400人の回答)し、評価したもので、ほぼ半数(48%)のCEOがツイッター、フェイスブック、インスタグラム、リンクトインなどのSNSを利用しており、トップ50のCEOは2つ以上のSNSを使っているという。
リポートによると、社員の大半は「SNSによるCEOの発信が自社の全体的な効率を高め(米英とも、それぞれ66%)、評判(米国71%、英国72%)にプラスの影響を与える」と考えているといい、「CEOが自社の危機や緊急事態でどのように対応するかをSNSで発信するのはとても重要だ」という金融メディアの読者は60%に達する。
そして、CEOに対して「SNSで自社の財政や戦略を語ってくれる」という期待に加えて、「企業の公(おおやけ)の顔として一般の人たちや投資家との直接的な情報発信を行う」といった期待も高まっていると指摘している。
米小売り大手ウォルマートのダグ・マクミロンCEOは、フェイスブック、リンクトイン、インスタグラムなどのSNSで、多くの写真や動画のコンテンツを交え、仕事とプライベートを伝え、高い評価を得ている。
ウォルマートは1兆円超のIT投資で、小売り業界でのデジタルシフトの波を牽引するだけに、マクミロンCEOの発信力は高い。
経営トップは、SNSメディアで、社内の社員はもちろん、社外の市場関係者、一般メディアに向けて、広く発信する時代となった。では、日本の経営トップのSNS発信力はどうでしょう――。
この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。
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