Pixel事業の年次成長率も低い。同社のCEOによると、2019年の第1四半期は「Pixel 3」の販売に苦戦したという。最近発表されたPixel 3の後継モデルである「Pixel 4」の評判は複雑だ。バッテリーが貧弱だという指摘や、サムスンの「Galaxy S10」やAppleの「iPhone 11」などと比較すると、カメラやメモリ、ストレージなどのスペックのわりに価格が高いという批判などがある。
GoogleはFitbitを21億ドルで買収すると発表した。
Fitbitはここ数年、ヘルストラッキングウェアラブル製品で、「Apple Watch」やサムスンの「Galaxy Watch」のような、より強力で多機能なスマートウォッチと同じ市場で苦戦している。競合メーカーは、Fitbitの製品よりもはるかに優れた安定したアプリエコシステムを備え、同等のエントリーレベルの価格(199ドル)でより多くの機能が使える製品を販売している。Fitbitのスマートウォッチ「Versa」の売り上げは芳しくなく、2019年7月の業績発表での売上予測引き下げの要因になった。
さて、ここで浮上する大きな疑問は、GoogleがFitbitで何をするつもりなのか、だ。
Googleは、スマートウォッチ向けOSとして既に「Wear OS(旧「Android Wear」)を持っている。これまでにオリジナルブランドのスマートウォッチを作れなかったとは思えない。サムスンやLG、華為技術(ファーウェイ)など、既にWear OS搭載デバイスを世に出したことのあるOEMやODMパートナー企業に作らせることができるはずだ。
だが、Wear OSの開発者のサポートは、よく言ってもぬるく、多くのユーザーがバグやパフォーマンスの低下について不平を言っている。GoogleのAndroidエコシステムにおける最大のOEMパートナーであるサムスンは、Galaxy WatchシリーズでWear OSを捨ててTizenに乗り換えた。このオープンソースOSは、Linuxベースで、はるかにリソース効率がよく、俊敏だ。
Fitbitの暗い業績見通しとデバイスの売り上げ低下はGoogleによる救済を促したが、Fitbitが自社製品で採用している独自設計のOSは、ユーザーの評判がいい。おそらく、GoogleがPixelスマートウォッチやその他のウェアラブルデバイス(もしかしたら、かつて失敗した「Google Glass」のようなものも含むかもしれない)の基盤として採用される可能性がある。
だが、疑問が残る。“Not Invented Here(NIH)”な(自社で開発されていない)ものを受け入れるメンタリティがGoogleにあるだろうか? Wear OSはFitbit OSと並行して開発が続くだろうか? そして、Googleのスマートウォッチパートナー企業によるWear OSへの投資が続くかどうかという問題もある。もしGoogleがWear OSの開発をやめれば、開発者は完全にWear OSを放棄するだろう。それはGoogleにとって非常に都合の悪いことだろう。
そして、もしGoogleがFitbit OSを採用した場合、Googleはこれをオープンソース化あるいはOEMにライセンスするだろうか? いずれも非常に面倒なことになりそうだ。そして、Fitbit OSがGoogle内のバトルで勝てば、これまでWear OSデバイスを購入してきた消費者は貧乏くじを引くことになるだろう。だが、Fitbitの買収は、実際のテクノロジーの買収というよりも、人材目的の高価な買い物になりそうだ。そうだとすれば、Fitbit OSは少なくとも総合的なプラットフォームとしては消滅する運命だろう。
Fitbitの現在の顧客は、Googleのプライバシーに対するゆるい態度にも懸念を示している。同社はまだ、クラウドベースの健康データと、買収完了後にデータをどう利用するかについてのしっかりしたガバナンスにコミットしていない。私がFitbitユーザーであれば、今頃はAppleかサムスンの製品を物色しているだろう。
ここまで振り返ってみて、私はGoogleがFitbitを自社の企業文化に適切に統合するためのハードあるいはソフト的なスキルを持っているとは思えない。だが、すべては時がたてば分かることだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)