フィットビットは終わる運命?グーグルの過去10年の買収を振り返って思うこと

Jason Perlow (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2019年11月12日 07時30分

 Googleは11月1日、フィットネストラッカーメーカーのFitbitを買収すると発表した。ウェアラブル事業の活性化が目的だ。同社は、Appleやサムスンのスマートウォッチと競合する「Pixel Watch」を製造しようとしているとみられる。

 私の悲観論を許してほしい。私はこの買収がきっと、Fitbitの従業員、製品、顧客にとって残念な結果に終わると予想している。Googleはこれまで買収した企業の多くについて、買収した企業を自社の企業文化にうまく統合できていないためだ。

 恐らく、Googleの最初の10年間における買収は、例えばYouTube、「AdSense」と「AdWords」、「Googleマップ」と「Google Earth」のように、同社のコアサービス製品構築に必要で、有益なものだった。だが、この10年間の買収実績はひどいものだ。5億ドル以上の大規模買収の場合は特にひどい。

Googleの失敗した買収

 Googleの過去10年の主な買収を振り返ってみよう。

2011年8月:Motorola Mobility

 Googleは、当時立ち上げたばかりのデバイス事業を強化する目的で、Motorola Mobilityを125億ドルで買収した。自社の企業文化に同社とその製品を統合できないまま、Googleは2014年1月にMotorola Mobilityをレノボに90億ドルで売却した。

2013年6月:Waze

 Googleは、デジタルマップとナビゲーションを手掛けるイスラエルのWazeを9億6600万ドルで買収した。Motorolaを買収してからの10年で、ITA Software(後にGoogleフライトになる)の6億7600万ドルに次ぐ大規模買収だった(そうそう、ITA買収を覚えているだろうか? 誰かTravelocityなどの他のツールではなく、このツールを使っているかな? 私は使っていない)。

 Wazeのアプリは未だにGoogleマップに完全に統合されていない。リアルタイムの交通情報や事故報告など、Wazeアプリの機能の一部がつい最近ようやくGoogleマップに追加された。そして、Wazeアプリは未だに、Googleの他のAndroidおよびiOSアプリとユーザーインターフェースが完全に違う単体アプリのままだ。

2014年1月:Nest、DeepMind

 Googleは、初期の「テックユニコーン」の1社であるNestを32億ドルで、現金で買収した。その後の数年間で、共同創業者のTony Fadell氏とMatt Rogers氏を含む多数の頭脳がNestから流出した。Nestは2018年にGoogleのホームデバイス事業部に統合されるまで、独立子会社として存続していた。Googleは2019年、Nestのクラウドサービスを段階的に廃止し、「Work With Nest」エコシステムで使えていたスマートホーム家電を使えなくしてしまった。

 Nestは2014年6月にDropcamを5億5500万ドルで買収している。2016年3月にはNestの機能不全な企業文化の悲惨さが報じられ、Dropcamの共同創業者、Greg Duffy氏はGoogleに自分の会社を売却したことを後悔していると表明した。

 Googleはまた、英国を拠点にAIと機械学習を手掛ける企業、DeepMind Technologiesも6億2500万ドルで買収した。2019年の時点で、GoogleがDeepMindを収益化するために具体的に何をしたのか、誰も知らない。そして、同社は赤字を出し続けている。DeepMindは、Googleのクラウドプラットフォームと分析ツールの強化を目的としたその後数年間の重要な買収の1つでもある。関連買収としては、Bebop(3億8000万ドル)、Apigee(6億2500万ドル)、Looker(26億ドル)などがある。 だが、(年間売上高ランレートが80億ドルの)Google Cloud Platformは、Amazon Web Services(AWS、330億ドル)やMicrosoftのクラウド事業(Office 365とAzureを含めると440億ドル)にまだ大きく水を開けられている。

2017年9月:HTC

 Googleは、Pixelスマートフォンのハードウェア事業を強化するために、HTCの研究・設計部門を11億ドルで買収した。

 Statcounterによると、北米におけるGoogleのPixel事業の市場シェアは約2.23%で、世界でのユーザー数は1億人という。だが、Googleの実際のデバイス事業の売上高(同社はデバイス事業をクラウド事業などと共に「その他」項目にまとめており、個別の売上高を開示していないが)に基づけば、市場シェアはもっと少ない可能性がある。筆者の同僚である米ZDNetのEd Bott記者は最近、Googleの「その他」項目の数字を“リバースエンジニアリング”し、Pixel 3の発売以来の販売台数は多めに見積もって最大1280万台、低めに見積もるとわずか約890万台だと試算した。そうであれば、Googleの北米スマートフォン市場におけるシェアはStatCounterの試算に遠く満たない1%未満ということになる。

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