Appleのスマートスピーカー「HomePod」は2018年に発売された。当初の希望小売価格は349ドル(約3万8000円)で、素晴らしいサウンドを実現し、テーブルに白い輪染みができることも話題になった。その後、Appleのスマートホーム分野はあまり進展していない。
だが現在、AppleはHomeKitチームを拡大し、新製品を準備中と報じられており、コネクテッドホーム分野に新たな関心を寄せているようだ。同社は9月に、「HomKitのプロトコルエンジニア」「HomeKitのパートナーエンジニア」「HomeKitソフトウェアエンジニア」などの職種で15人を募集した。Appleが本当にスマートホーム市場に本格参入する計画であれば、2つの強みがある。カメラとプライバシーだ。
プライバシー保護を謳う新製品を構築する前に、AppleはHomePodの命運について考慮する必要があるだろう。HomePodは「Apple Music」の熱烈なファンにとっては素晴らしい高音質スピーカーではあるが、HomeKitのラインアップに小型で手頃な価格のスマートスピーカーが欠けていることは事実だ。
Appleは4月、HomePodを349ドルから299ドルに値下げした(日本では税別3万2800円で8月に発売)。Googleのハイエンドスピーカー「Google Home Max」と同じ価格だ。Amazonの最も競合するハイエンド製品は間もなく発売される「Echo Studio」で、これは199ドル(日本では税込2万4980円)だ。3社ともハイエンドのスピーカーを提供しているが、Appleだけ安価なモデルを用意していない。
「HomePod mini」はない。Amazonには3世代目になる50ドル(同5980円)の「Echo Dot」があり、Googleは2世代目の「Nest Mini」を49ドル(同6050円)で発売したばかりだ。Appleが消費者にエントリーレベルのスピーカーを提供しなければ、HomePodはAppleのスマートホーム参入に必要な基盤にはならないだろう。
Appleがプライバシーを重視していること(と、重視していることを宣伝していること)は「iPhone」を見ればすぐ分かる。Googleはユーザーが意識不明でも顔認証によるロック解除機能が使えてしまうことで、サムスンはディスプレイ内指紋認証センサーが簡単にだまされてしまうことで、それぞれ批判される中、Appleは「iOS 13」でセキュリティを強化した。同様のセキュリティ重視の機能はHomeKitにももたらされた。同社は6月のWWDCで「HomeKit Secure Video」を発表した。
HomeKit対応ルーターとHomeKit Secure Videoは、HomeKitのプラットフォームに最近加わった。HomeKit Secure Videoは、セキュリティカメラの映像の保存とその解析方法、誰がその映像にアクセスできるかを管理するためのものだ。
カメラで撮影したビデオクリップは、解析のためにクラウドに送信されるのではなく、ユーザーの自宅にある「iPad」、HomePod、「Apple TV」内で解析される。解析完了後、データは暗号化されてiCloudに送られるので、誰も(Appleでさえも)見ることはできない。
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