朝日インタラクティブは8月28日、「CNET Japan Conference 不動産テックカンファレンス2019 不動産業界の未来を輝かせる『テクノロジー・ビジネス・人材』の活かし方」を開催。そのなかから本稿では、家具・家電のサブスクリプションサービスを展開するクラス 代表取締役社長の久保裕丈氏、無人コンパクトホテルmizukaを運営するHosty 代表取締役の山口博生氏、日本初となるPropTech特化型VCのデジタルベースキャピタル 代表パートナーの桜井駿氏の3者によるセッションの様子をお伝えする。
宿泊業界と不動産業界は、宿泊することと住むことの違いこそあれ共に心地よい居住体験を提供するという部分での接点はあり、比較的近い存在といえるだろう。不動産業界に近い場所で活躍する3名から見える不動産テックとは。そして、不動産業界として宿泊テックに学べる部分はどこか。
今回のセッションは、PropTech特化型VCを運営するほかに、不動産・建設スタートアップを対象とした日本最大のPropTechスタートアップコミュニティであるPropTech JAPANのFounderも務める桜井氏がモデレータとなり話を進めた。3人の関係性は、デジタルベースキャピタルがクラスに出資し、クラスはHostyが運営するmizukaにサービスを提供しているという形になる。
まず直近の宿泊業界の変化として山口氏は、多様性の出現を指摘する。「参入した5年前には大規模なホテルやチェーン展開するビジネスホテルばかりだったが、今はデザイナーズホテルや民泊の延長上で版権を使ったホテルやHostyのような無人ホテルが登場している。インバウンド需要が大幅に伸びていて、ドミトリーやカプセルホテルも増えている」と語る。
このように宿泊業界では、需要の質が変わりそれを取り込む形で活況を呈しているが、多様化の背景には法規制の変化も大きく関係していると山口氏は語る。具体的には、民泊新法施行に伴う民泊営業日数に対する規制、さらには旅館業法改正による無人化運営などが相当する。
Hosty自体も、元々日本初の民泊運用代行サービスとしてスタートしたが、法規制によって民泊サービスがトーンダウンしたため、自ら宿泊施設を運営するという業態にピボットしている。通常の建物の一室やワンフロアをリノベーションし、無人のコンパクトホテルとして主に外国人観光客向けにサービス展開。規制の変化によって実現したビジネスモデルとテクノロジーの活用で既存の宿泊業界が抱える問題をクリアし、福岡市内で次々とホテルを開業、11月には東京・港区にも進出する予定だ。同社のほかには、「二毛作民泊」といわれるマンスリーと民泊を併用するホテル運営の形もあるという。
一方クラスは、個人・法人向けに家具や家電のサブスクリプションサービスを提供し、オフィスやコワーキングスペースをはじめ、シェアハウス、ホテル業界などで利用されているが、「なかでも圧倒的に新規需要が多いのが宿泊業界」(久保氏)であるとのこと。
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