Facebookの仮想通貨「Libra」は金融業界に革命を起こせるか - (page 2)

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2019年06月21日 07時30分

 Libra協会と呼ばれる非営利組織を設立したFacebookとそのパートナー各社は、こうした懸念に対処すべく努力していると述べている。Libraは、「安定し、信頼性のある中央銀行が発行する通貨での銀行預金と国債」で構成される準備資産によって価値が担保されている。つまり、ドルやユーロなど世界の主要通貨と同様、毎日のように乱高下することがないということだ。

 さらに、Libra協会は、この仮想通貨がマネーロンダリング防止規則に違反しないようにするため、世界中の規制当局と協力している。そうした準備を万全にするのには、時間がかかる。

 テクノロジー企業が仮想通貨分野に進出するのは、Facebookが初めてではない。メッセージングアプリを手がけるLINEは2018年、「LINK」というデジタルトークンを発表した。中国のメッセージングアプリ「WeChat」では、クレジットカードを紐付けして決済や送金を行うことができるが、仮想通貨取引は禁止されている。

 アナリストによると、Facebookはその規模と国際的な広がりのおかげで、有利な立場にあるという。約27億人がFacebookや同社のInstagram、WhatsApp、およびMessengerサービスを使用している。対照的に、LINEのユーザー数はその4分の1以下で、WeChatのユーザー数は10億人強だ。

 仮想通貨セキュリティ企業のCipherTraceで最高経営責任者(CEO)を務めるDave Jevans氏によると、Libraは、ほかのソーシャルメディアプラットフォームに金融サービスへ参入させるきっかけになる可能性があるという。

 「これがきっかけとなって、3~4年前から大規模な政治的プラットフォームとなっているソーシャルメディアプラットフォームが今、グローバルな社会を実現する金融プラットフォームになりつつあるという議論が始まるだろう。」(Jevans氏)

 Libraはビットコインのようなほかの仮想通貨よりも安定しているが、そのことに魅力を感じないFacebookユーザーもいるかもしれない。

 ForresterのアナリストのAurelie L'Hostis氏は、「安定しているということは、Libraがビットコインと同じ水準の投資機会を提供しないということでもある」と述べ、儲けを狙って仮想通貨に手を出したりやめたりする投機家たちに言及した。「現在、仮想通貨は主に投資対象のデジタル資産として使われている」(L'Hostis氏)

デジタルウォレットの開発

Calibra
Calibra
提供:Facebook

 Facebookは、Calibraというウォレットを開発することで、ユーザーがLibraを簡単に入手できるようにしようと試みている。ユーザーはこのアプリを「iPhone」または「Android」デバイスにダウンロードするか、あるいは、1つの波のような形をしたCalibraのロゴをクリックして、ウォレットをMessengerまたはWhatsAppに追加することができる。

 詐欺行為を防ぐために、Facebookはユーザーに運転免許証などの身分証をアップロードして本人確認を行うことも求める。同社はこの情報を暗号化し、現地の規制によっては保持することもあるかもしれない。本人確認が完了すれば、ユーザーは自分の銀行口座をアプリと紐付けて、例えば、米ドルをLibraと交換することができる。ウォレットは自動的にドルの金額をLibraの金額に変換する。

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