Appleは先週開催した年次開発者会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で、「Sign in with Apple」を発表した。FacebookやGoogleが提供するシングルサインオン(SSO)に代わる、新しいプライバシーツールだ。Appleは、無料サービスでもプライバシーを尊重するべきだと述べ、競合他社に挑む姿勢を示した。GoogleのMark Risher氏はそのジャブを快く受け止めたわけではないが、この技術がユーザーの安全性を強化すると考えているようだ。
Googleのアカウントセキュリティなどを手がける製品管理担当ディレクターRisher氏は、The Vergeが米国時間6月12日に公開したインタビュー記事で、「それだけが唯一純粋(なログイン方法)で、それ以外のものには欠陥があるかのような当てこすりが随所で展開されていた。それについてはもちろん快く思っていない」と述べた。
Risher氏は、「Sign in with Google」をユーザーがクリックしたときに何が起きるかを、Googleは適切かつ正確に説明しておらず、デジタルの世界でユーザーが安全でないと感じている時に、誤解を招く可能性があると述べた。全体的に、GoogleのサインオンオプションやSign in with Appleを使用する方が、ユーザー名とパスワードをランダムに使用するよりも良いとRisher氏は述べた。
同氏はThe Vergeに対し、「この技術はインターネットに対してより適切で、ユーザーを格段に安全にすると率直に思う」と話した。
米CNETはGoogleにさらなるコメントを求めたが、回答は得られていない。
Sign in with Appleでは、ウェブサイトやアプリにサインインするための認証情報として、電子メールアドレスを入力する代わりに、「Apple ID」を使用することができる。認証情報の確認には、ソーシャルアカウントへのログインではなく「iOS」端末が使用される。ソーシャルアカウントにログインすると、オンライン活動をトラッキングされる可能性がある。Sign in with Appleはプライバシーを犠牲にすることなく利便性を提供するとAppleは説明している。
Appleの競合企業各社は、自社のサインオンサービスを利用してユーザープロファイルを作成し、ターゲット広告の配信に利用している。Appleは、広告ではなく端末やサービスの販売で利益を生み出している。Sign In with Appleは、「iOS」「macOS」「tvOS」「watchOS」それぞれのアプリに対応するほか、ウェブアプリやApple以外のプラットフォームにも利用できる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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