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VR内見のスタイルポート「ROOV」--ゴーグルではなくウェブオンリーを採用する理由

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 “家”は人生で最も大きな買い物のひとつ。その後のライフスタイルを決定づける分岐点にもなり得る。だからこそ、自分や家族にとってその物件が本当に満足できるものなのか、できる限り慎重に判断したいものだ。

 建て売りの戸建てや中古マンションなら、購入を決める前に内見して隅々までチェックできるので安心だ。しかし、新築マンションとなるとそうはいかないケースも多い。建設中や計画中の段階で募集が始まり、うかうかしていると売り切れてしまうため、間取り図などの“スペック”だけで早めに判断しなければならないこともままあるからだ。

 人生を左右するかもしれない高い買い物なのに、じっくり内見する機会もなしに購入せざるを得ない。そんなストレスを解消すべく、スタイルポートが開発・提供しているサービスが「ROOV」(ルーブ)だ。本来見ることのできない新築マンションの物件内部を3DCGで再現するこのサービス、不動産大手の「SUUMO」や「LIFULL HOME'S」で利用できるようになっていて、ROOV採用物件も増加中だ。

 写真ベースのコンテンツとVRゴーグルで仮想的に内見できるようにする類似サービスもあるが、ROOVが対応するのはウェブブラウザのみ。一見シンプルなサービスにも見えるROOVはどんな可能性を秘めているのだろうか。スタイルポート代表取締役の間所暁彦氏に話を聞いた。

スタイルポート 代表取締役 間所暁彦氏
スタイルポート 代表取締役 間所暁彦氏

3Dで見られるだけじゃない、顧客のインサイトもつかめる仕組み

――2019年4月から、大手不動産物件サイトで立て続けに採用されました。ROOVの特徴や魅力などを改めて教えていただけますか。

 2019年の初めに正式版としてリリースしたROOVは、この4、5月から大手ポータルサイトに採用いただき、住宅探しの入り口として非常に幅の広い2大ポータルと連携することになりました。現在は一部デベロッパーの新築マンションの物件情報でご利用いただけます。

 ROOVは、主に新築マンションの物件内部を3DCG化して、それをウェブブラウザ上で見られるようにしたものです。「インターネットVR」と銘打っていますが、VRコンテンツというより、いわばビジュアライザー。立体の部屋の中をウォークスルーして生活動線を確認したり、3Dオブジェクトのインテリアを置いて空間的なところも含めて把握したりできるようになっています。

 この分野の競合他社で多く採用されているのは“パノラマ系”と呼ばれるもので、周囲360度のパノラマ写真を撮影して、写真やCGパーツからなる部屋を固定された中心点から視点を回転させて見られるようにしています。VRゴーグルで映像を見られるところもありますね。ほかには、CG制作会社が手がける、物件内部の凝ったCG映像をインタラクティブに動かせるタイプもあります。今はこの2つが主流です。

――そのパノラマ系などに対して、ROOVでは具体的にどんなことができるのでしょう。

 ROOVでは、3DCGで立体的に間取りがわかるだけでなく、実際にそこに立ったときの視点から、部屋の中を歩き回って見られます。カラーサンプルの中から床や壁の色を選んで変えたり、窓の外の眺望に実際の景色を合成したりできるので、ベッドルームから見える景色がどうなっているか、なんてこともわかります。

 家具の3Dオブジェクトを仮想的に部屋に置くことも可能です。家具のサイズは変えられるので、すでに所有している家具やこれから買おうとしている家具が部屋に収まるかどうかを確認できますし、指定した任意のポイント間の採寸もできます。自動で部屋の中をウォークスルーしていく自動再生機能もあります。

 パノラマ系は写真がベースなので、これは壁、これは床というような属性を持っているわけではなく、色を変えたりはできないですし、採寸もできません。また、視点が固定されているので、生活導線や実際に室内を内見しているような感覚までは得られないと思います。でも、完成している部屋を見るという点では、従来の2次元の写真よりは見やすい。制作コストも安いので、中古、賃貸マンションの売買などには使いやすいサービスだとは思います。

――ROOVはVRスコープには対応せず、ウェブブラウザ上で表示する仕組みですね。

 ROOVの一番のメリットは、非常に軽く、誰でも利用しやすいこと。ウェブブラウザを使って、特定のURLにアクセスするだけでパソコンやスマートフォンから見られます。特殊なデバイスや専用のアプリソフトウェアは不要です。デベロッパーの販売の現場でも簡単に見せられる、といったところに技術的な開発のウェイトを置いて、データサイズを軽くしたり、縦長画面でも見やすくしたり、といったところも工夫して開発しています。

 VRスコープを使うスタイルは、物件のプレゼンテーションコンテンツとしては、実はあまり魅力が大きくないんじゃないか、と思っています。それよりも我々はもう少し突っ込んだ形で、3DCGによる立体的なグラフィックを売り手と買い手で共有して、それを元に商談を進める、コミュニケーションにポイントを置いているんです。見るだけじゃもったいない、と。

――写真をベースにするのではなく、リアルタイムで動かせる3DCGを選んだ理由は?

 なぜ3DCGにしているかというと、新築の分譲マンションは商談のタイミングで竣工していることがまずないからです。物件の写真を撮ることがそもそもできません。ですので、デベロッパーからCADのデータをいただいて3Dに変換し、それを我々のサーバに格納して表示する仕組みにしています。つまり、未竣工の物件でも自由に内部の見栄えを確認できるわけです。

 不動産のデベロッパーにとっては、商談の際に必要になるだろう情報が全部この中に入っています。現場でiPadなどを使ってお客様に見ていただきながら、販売担当者と買い手のお客様がコミュニケーションするための媒体として使っていただけます。ROOVはマーケティング支援のSaaSであるとも言えますね。

――SaaSということで、そのメリットを活かした機能はありますか。

 デベロッパーにおけるROOVを使った新築マンションの商談の流れとしては、最初はお客様の希望に合わせて部屋ごとの価格表から選び、間取りを説明して、ROOVの3DCGの画面を見せるという順序になります。この画面のURLは公開先が限定されていますが、個別にお客様が持ち帰ってスマートフォンや自宅のパソコンで表示させて検討できるように設定することも可能です。

 そのお客様の商談を担当した販売員にとっては、その物件の検討がお客様のなかで進んでいるのか、家に帰って情報を見ているのか見ていないのかがすごく気になるところです。ROOVはクラウド型のサービスですので、商談中の部屋タイプごとに何回閲覧しているのか、滞在時間がどれくらいかが記録され、それを販売員が確認できるようになっています。次の商談のヒントになるようなCRM的な機能をもつツールとしても使えるんです。

 デベロッパーは、お客様が物件の情報をウェブで見て、問い合わせをしてくるところまではよく分析されているんですが、モデルルームに来た瞬間に個々の販売員任せで、半分ブラックボックスです。販売員同士のナレッジの共有化も難しいですし、商談の“見える化”みたいなことがなかなかできていないので、ROOVはそこを補完できるものと考えています。

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