VR内見のスタイルポート「ROOV」--ゴーグルではなくウェブオンリーを採用する理由 - (page 3)

リノベーションマンションでの活用や本格的な営業支援にも

――今後は新築マンション以外にも展開していくのでしょうか。

 実験的にリノベーションマンションも手がけ始めています。ROOVの本質的な価値は、まだ存在していないものを見えるようにする、わかるようにする、というところが大きいと思っています。ROOVなら、古い部屋の状態とリノベーション後の新しい部屋の状態を再現してお見せする、みたいなことが可能ですよね。

 今は、リノベーションやリフォームを手がける施工会社の方向けの営業支援ツールも準備中です。たとえば施工会社がオーナーからリノベーションの依頼を受けると、施工会社の人はその物件に訪問して、採寸して、図面を引いて、プランを作ってお見せして……と、何回も訪問して提案しなければならない。作業量も多いんです。今は人手不足なうえに夜通し働くような時代でもないですから、施工会社にとってはそのあたりの悩みが大きいのかなと思っています。

 あと、戸建て物件もまた新築マンションと同じくらいの大きなマーケットなので、戸建てに対してどういったソリューションを提供していけるかは次のステップとして考えたいですね。

「戸建てに対してどういったソリューションを提供していけるかは次のステップとして考えたい」
「戸建てに対してどういったソリューションを提供していけるかは次のステップとして考えたい」
――施工会社向けの営業支援ツールとはどんなものになりそうですか。

 コンピュータービジョンという技術を活用し、撮影した写真データをフル自動で3DCGに変換するシステムの開発を進めています。このキーテクノロジーを活用して1回の室内撮影とシンプルな操作でリフォームプランを作成し、インターネットを介して依頼者に提案&設計打合せできるサービスを準備しています。年内にはプロトタイプの開発が完了する予定です。近々フィジビリにご協力いただけるハウスメーカーや建築設計会社の方の募集を開始するつもりです。

――将来的にVRゴーグルへの対応は?

 最初の頃は要望も多くて、対応させることも考えたんですよね。でもVRゴーグルへの対応は、今のデータの軽さというメリットとトレードオフになってきます。

 我々はあくまでもデベロッパーの業務をどう円滑にするかと、お客様の住まい選びの不便さの解決、そういうものにスポットを当ててきました。それを考えると、VRゴーグルは必要ないと判断しています。

――不動産とは違う、まったく別の分野へROOVを応用することは考えられるでしょうか?

 今は不動産におけるマーケティングをどうするか、というところにフォーカスしていますが、この分野の延長線上には、「施工にROOVをどう使うか」みたいなアイデアはあるかと思います。設計や使用する建築材料は先に決まっているものなので、そのデータをもとにROOVが3DCGなどで再現し、ボタンを押すとその材料が工場で自動的にカットされて現場に納入されるとか。そうすれば職人不足にも悩まされずに済むかもしれません。

 また、ROOVをどのように閲覧した人が成約に結び付いているのか、といったデータ分析にも活用できそうです。「この人は契約しそうなのできちんとフォローしましょう」みたいなアラートを販売担当者に通知するようなことも実現できるのではないでしょうか。

――今後の目標を教えてください。

 まずは年内に150プロジェクトを手がけるのが目標です。日本で新築されるマンションは年間だいたい1000棟なので、次はざっくりその40%くらいに対してROOVが使える状態にしたい。そうすれば、ユーザーの皆さんにとって、ROOVがあるのが当たり前、というような状況になると思っています。

 ただし、我々としてはデベロッパーの悩みの解決が第一です。モデルルームを用意するのにお金がかかり、1人のお客様の申し込みをもらうのに何回もリテンションしなければならず、なおかつ(顧客が昼間仕事をしている会社員だと)夜に営業・接客しなくちゃいけない、そんな状況です。販売の現場で起きている悩みを解決することが、同時にお客様の不便、不満の解消にもつながると信じています。

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