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スポーツ業界の働き方にメスを--プロバスケ千葉ジェッツ代表に聞く“意識改革と理念” - (page 3)

佐藤和也 (編集部)2019年04月16日 09時00分
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働き方改革ではなく、理念に基づく“関わる人の幸せを推進”

ーーITツールの活用についてはいかがでしょうか。

 さほど劇的なものはないのが本音です。ITツールで効率化されるところはありますし、活用自体は必要です。でもそれが業務改善の母にあたるかと言われると、それは違うと思います。ビジネスとしての意識と仕事の優先順位、整理整頓のほうが重要だと考えてますし、あくまでツールですから。業務効率を上げるためのやり方、理念と方針とメリットなどの仕組みがあったうえでの、サポートをしてくれるツールととらえています。

ーーあしたのチームのクラウド型評価システムを導入されているとのことですが。

 ある知り合いの方を通じて、スポンサーを考えてくださっているという話をいただいたのがきっかけです。私が業績評価と行動規範の評価システムを我流で作っていたお話はしましたが、その考え方と近しいものを、クラウド上でできるシステムを持っていらしたと。こちらもスタッフ人員も増えてきたところで、我流で続けるよりは、より合理的なものに作り替えたいと思っていたタイミングだったので、申し出を即決しました。チームへのスポンサーとともに、クラウドでの評価システムを導入しまして、評価の時間的効率は向上しました。

ーー島田さんは業界の向上のため、他のバスケットボールクラブに経営ノウハウを教えたこともあったそうですが、効果はあったのでしょうか。

 クラブによってさまざまですし、地域による事情もあるのですけど、千葉ジェッツのいいところを取り入れようと真剣に向き合ったところは、外側から見てマインドが変わったのを感じられますし、それはひとつやふたつではないです。全般的に人を大事にすることに気づいてくれたところは伸びていると思っています。

 人を大事にするというのは、決して甘やかすという意味ではありません。スタッフを経費として見るのか資産として見るのかの違いでしょうか。人を雇うことをコスト増ととらえるか、資産として利益を生み出す源泉ととらえ、どのようの伸ばしていくかという、ポジティブとネガティブの違いは大きいと思います。

ーー日本において働き方改革の言葉が躍って久しく、直近では働き方改革関連法で残業時間の抑制にも着目されているところもあります。短い時間で生産性を上げることを実践してきた立場として、働き方改革を取り巻く風潮について、どのように思いますか。

 業務改善や会社の立て直しがうまくいったことで、働き方改革についてお話を聞かれる機会もたびたびあります。私としては、たまたま働き方改革っぽいことを実行して世の中に映った会社の経営者であって、その領域を専門的に語る立場ではないということを踏まえたうえで、個人的な考えとしてお話をしたいと思うのですが、そもそも働き方改革って何なんでしょう、という思いがあります。

 なんだか、働き方改革をするために働き方を見直そうという雰囲気で、確かに残業の抑制など、時短のことばかりにスポットが当たっているようにも感じています。そして勤務時間が短くなったら生産性が落ちるのではないか、また残業代の削減ではないか、逆に長くなって過労死を気にしなければいけないとか、そういう議論になっていること自体に違和感があって、そこに意味はあるのかと。

 そもそもの背景として、日本における人口減少の問題があって、生産性減少から国際競争力が衰えないように、少ない人間でも生産性を上げていくためにITやロボットなどの活用をしつつ、生産性を高める働き方が必要だという話のはずです。

 私は働き方改革を推進したのではなく、千葉ジェッツに関わるみんなが幸せになることを考えて推進してきただけです。みなさんコンプアライアンスとか、訴えられることの企業リスクを気にされているのだと思いますけど、そういうのは就業規則など普通に守られるべき話であって、改革うんぬんの話ではないはず。この言葉が躍ること自体違和感がありますし、本質的なところが議論されていない気がします。

 どうしたら会社が持続的に存在し成長できるか、そこで働くスタッフ、取引をしている業者や関係者が幸せになれるか、社会的に意義のある活動を継続できるのか、それだけだと思うのです。それを実現していくためにどうあるべきなのか。千葉ジェッツであればハッピーという言葉に集約されるのですけど、それを考えたときに、いかに時間が有限であることを意識して有効活用していく必要があると。働き方改革の旗印を掲げてなにかをするというよりは、会社の理念に則して、幸せなことなのかを突き詰めた結果であり、従業員にとっていい働き方になっているのであれば、それでいいものと思っています。

 業績向上と、関わる人たちの幸せの両立を考えたときに、取るべき方策のちょうどいいところをとっているつもりでやってきて、そこを突き詰めたら今のスタイルになっただけです。その源泉となっているのが理念であるのは間違いありません。

 労働時間の長短や環境などはさまざまだと思いますけれども、理想であるのは、好きな仕事で給料がある程度増えて、生活のサイクルが保っている状態、人として妥当性のある時間に業務を終わることが、幸せなことだと思っています。そしてみんなが幸せであることが、意欲的に働く意識をもたらしますし、それによって仕事、ビジネスに対する考え方も変わってきます。

 これは産業問わず当たり前の思考法だと思っていますし、そう信じている部分もあります。千葉ジェッツにおけるみんなのハッピーを考えた施策が、結果的に世の中の流行りとなっている働き方改革的なものに見えた、ただそれだけのことだと思っています。

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