ARで“超能力”を身につける未来--「HoloLensの父」A・キップマン氏に聞く

Scott Stein Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2019年03月15日 07時30分

 「HoloLens 2」は、Microsoftの拡張現実(AR)に対する新たな取り組みだ。装着方法が変わり、視界も大きくなり、強力なハンドトラッキング機能と視線トラッキング機能も追加された。ただしこのモデルは、まだ一般消費者向けのデバイスではない。

 MicrosoftのテクニカルフェローAlex Kipman氏は、「Kinect」とHoloLensを開発した人物だ。発売前にHoloLens 2を試してみる機会があり、筆者らがMicrosoftのレドモンド本社に訪れた際、Kipman氏に話を聞くことができた。同氏はこのインタビューで、コンピューティングはどこへ向かおうとしているのか、HoloLensはどこを目指しているか、そして、人々が日常的に先進的なARヘッドセットを身につけて生活するようになるまでに、どのくらいの時間がかかるのかといったビジョンについて語ってくれた。

 Kipman氏とMicrosoftは、HoloLensのようなヘッドセットを、人工知能(AI)によって世界を取り込み、解釈するためのセンサーを備えたさまざまなデバイスの中の1つとして位置づけている。Kipman氏は、それがヘッドセットであればHoloLensになり、自宅に置くデバイスであればスマートカメラになり、自動車やドローンであれば自動運転車になるのだと説明した。今回リリースされたHoloLens 2は、クラウドで提供されるAR体験を「iOS」や「Android」などのほかのデバイスとも連携させ、これまで以上に仕事の道具らしい使い方ができるようにすることを目指している。

Alex Kipman氏
Alex Kipman氏

 しかし、われわれ一般ユーザーは、いつになればこの魔法のようなARの世界を利用できるようになるのだろうか。

 この記事では、1月31日に米CNETがKipman氏にインタビューした内容を編集してお届けする。 この時の動画も末尾に掲載する。

--近い将来、一般向けのHoloLensが発売される見込みはありますか?

 過度に期待を持って欲しくはないですし、すぐに一般消費者向けの製品になると思わせるつもりもありません。「すぐにでもこれをPCやスマートフォンやテレビの代わりに使いたいのに、どうして使えないんだ」なんて幻滅されても困ってしまいます。一般向けにするには、HoloLensをもっと快適なものにしなくてはなりませんし、没入感も高める必要がありますし、とにかくもっと価格に対する価値を高めなくてはなりません。いずれ、没入感も、快適さも、価値も十分な水準に達すれば、喜んで一般向けの製品として発表するつもりです。しかし、現段階のHoloLensはその水準に達していません。

--どのくらい先になるのでしょうか?

 当然ですが、予想は困難です。こういう予想は外れるものですしね。今でも、企業の中で現場の人が利用するシナリオでは大きな価値があると思いますし、革新的な変化を起こせるでしょう。はっきりさせておくと、あえて言えば、HoloLens 2は現在この分野に存在する最高の製品ですが、それでも一般向けの製品としては十分ではないのです。この分野のほかの製品については、皆さんが判断してくれるでしょう。

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