IHS Markitのアナリスト、Gerrit Schneemann氏は、複数のカメラを搭載したスマートフォンに購入するだけの価値があるかどうかは、そのデバイスの価格にもよると指摘する。フラグシップスマートフォンであれば、カメラは高精細で最新の人工知能(AI)採用ソフトウェアと統合されており、最高の写真を撮影できるだろう。
ミッドレンジや低価格帯のデバイスの場合は、デバイスの価格を抑えつつ複数カメラを搭載するために、解像度はあまり高くなく、力不足なCPUのせいで最先端の技術は採用していない可能性がある。この場合は、本当に高性能なカメラを1台だけ搭載するスマートフォンを選ぶ方がいい。
Schneemann氏は、「理想的な」カメラの台数は、メーカーによると語った。「Googleは1つで十分だと言うだろう。ファーウェイ、Oppo、Vivo、そして今やサムスンなどは、複数のカメラがユーザー経験と価格差別化を推進すると言うだろう」
サムスンの新フラグシップ「Galaxy S10」は背面に3台、前面に1台のカメラを搭載する。上位モデルのGalaxy S10 Plusは前面の2台目カメラで数が増えている。
HMDにとっての理想の台数は5台だ。同社のCEO、Florian Seiche氏はMWCでのインタビューで、これは任意ではないと語った。
「われわれがNokia 9 PureViewで採用したアプローチは、5つのレンズすべてを同時に使って撮影するという非常にユニークなものだ。今度のPureViewのイノベーションは、このコンピュテーショナルフォトグラフィの部分にある」(Seiche氏)
HMDはNokia 9 PureViewの開発に当たり、マルチレンズカメラメーカーのLightと提携し、その技術を導入した。スマートフォン業界のライバルたちはそれぞれのレンズに異なる写真スタイルを割り当てているが、PureViewはすべてのカメラのレンズを同時に使って1枚の画像に融合する。
Seiche氏は、レンズを何枚搭載するかを決定する鍵として、Lightと深く協力したと説明した(Lightには16枚のレンズを搭載したカメラがある)。同氏はPureViewについて、「これは、搭載可能な最大値を示すことだ」と語った。同社はスマートフォンでできることの限界とそれでも優れた性能を発揮できることのバランスを取りたかったという。
CCS Insightのアナリストは「技術を統合するための純粋なエンジニアリングの取り組みは素晴らしいが、その努力に価値があるのかどうか、そして消費者が関心を持つかどうかは、Nokia 9 PureViewが提供する画質次第だ」とブログで述べた。
より多くのハイアマチュアとプロの写真家を魅了するために、このデバイスはRAWでの撮影が可能になっており、画像処理アプリの「Adobe LightRoom CC」がプリインストールされている。従って、ユーザーは撮影した写真をスマートフォン内で編集できる。
これだけ競争の激しいモバイル市場で、Seiche氏はこの技術の独自性によってNokia 9 PureViewが群を抜くことを願っている。699ドル(約7万8000円)という予定価格は競合する多くのフラグシップより安い。予定通りの価格で発売されれば、強みになるだろう。
「Nokiaはスマートフォンの写真を次のレベルに引き上げようとしているが、フォーカスを再調整する機能が多数の競合製品で提供されていることを考えると、Nokia 9 PureViewは本当に抜きん出た結果を出さなければならないだろう」(CCS Insight)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス