2012年にバルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)のめまぐるしい日々を思い出してみよう。Nokiaのスマートフォンが、最優秀新デバイス賞に輝いた。受賞したのは「Nokia 808 PureView」。「Symbian」ベースのスマートフォンで、4100万画素のカメラを誇っていた。
7年後、新たなPureViewがバルセロナにやってきた。だが、今度は画素数ではなく、レンズの数がポイントだ。
スマートフォンメーカーのHMDは現地時間2月24日、MWCで「Nokia PureView 9」を発表した。今回も、大きな焦点はカメラ技術だ。今回誇っているのはそのクレイジーな数だ。背面に5台。前面の1台も含めれば全部で6台のカメラを搭載する。
画素数の高さを競う戦いはほぼ終わった。その主な理由は、画素数が高いことがそのままイコール良いカメラと良い写真を意味するわけではないことにユーザーが気づいたことにある。だが、競争が激化するモバイル市場の戦場は、今度は1台のスマートフォンに何台のカメラを搭載できるかに移った。
モバイル業界の多くのトレンドと同様に、スマートフォンの背面に複数のカメラを設置するというアイデアを普及させたのはAppleとみていいだろう。同社は2016年9月に背面にカメラを2台搭載する「iPhone 7 Plus」を発表した。それからというもの、背面カメラの台数は増加する一方で、この狂想はいつ終わるのかも分からない。
華為技術(ファーウェイ)のサブブランドであるHonorのプレジデント、George Zhao氏は「4台で十分だと思う。台数を増やせばいいというものではなく、もっと別の、賢いソリューションが必要だろう」と語る。
Honorのスマートフォンには多くても3台しかカメラが搭載されていない(とはいえ、ファーウェイは2018年10月に発表した「Mate 20 Pro」に4台のカメラを搭載している)し、それがだいたい一般的だ。2019年のMWCでは、多くのスマートフォンメーカーがカメラの台数としては3台がちょうどいいと決めたようだった。3台の一般的な内訳は、標準的なカメラが1台、広角レンズが1台、望遠レンズが1台だ。
ソニーモバイルコミュニケーションズの岸田光哉社長はMWCでのインタビューで「複数カメラ搭載ではわれわれは少し後れを取った」と語った。2019年のMWCでソニーモバイルは「Xperia 1」を披露した。岸田氏が社長に就任してからは初のフラグシップデバイスだ。3台の背面カメラを搭載するが、岸田氏にとっては、レンズの数よりその内部のテクノロジーの方が重要だ。
ソニーモバイルは、以前はソニーのコンシューマー向けカメラ部門と協力していたが、Xperia 1はプロ向けイメージングプロダクト部門と協力して構築した。岸田氏にとって、この品質はスマートフォンが創造する写真の本当の違いを作り出すものだ。
「個人的には、重要なのはカメラの台数ではなく、カメラをどのように作り上げ、ソフトウェアを含む(中略)総合的なアプリケーションとして完成させるかだと考える」「それが鍵になる」(岸田氏)
写真家でもあり、米CNETでモバイル分野を担当するAndrew Hoyle記者は、スマートフォンのカメラのレビューが専門で、レンズを増やすことの利点について幾つかの考察を示した。
「レンズの数が多ければ必ず高画質になるわけではないが、ある程度クールでクリエイティブな撮影が可能になる。Mate 20 ProやGalaxy S10 Plusなどの超広角レンズは本当にドラマチックでインパクトのある写真を可能にする。そうした写真は以前はデジタル一眼レフカメラでしか撮影できなかった。Instagramに投稿するのに最適だ」(Hoyle記者)
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