10月09日~10月15日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
Adobeはカリフォルニア州ロサンゼルスで、1万4000人が参加するクリエイティブイベント「Adobe MAX」を開催した。クリエイティブ製品の数々が、Adobe Senseiと呼ばれるAI技術を生かして進化する中で、重要なアナウンスがあった。それは、AppleのiPadが、クリエイティブのモバイルデバイスの主役としてより重要な地位を確保することになる。
Adobeは2017年から、Lightroom CCをクラウドベースに移行し、デスクトップ、スマートフォン、タブレットで同じ品質の編集環境を提供した。4200万画素のRAW画像を、スマートフォンで処理できるのだ。これを2018年はビデオに拡げ、Premiere Rushという複数のデバイスで利用可能なオールインワンのビデオ編集アプリを正式リリースした。当然、iPadでもフル機能を提供している。
そして2019年、ついにPhotoshopがiPadに完全に移植されることが発表された。デモでは90を超えるレイヤーを持つ画像を、iPad Proで軽々と編集することができ、ピンチ操作で1ピクセルまで拡大できる様子を披露した。
また、スケッチアプリとしてProject Gemini(ジェムナイ)も披露し、2019年のリリースを予告した。Apple Pencilを生かし、ベクター・ラスターのブラシによる描画を行えるアプリで、2017年Adobeに参画したKyle T. Webster氏がAdobe MAXの基調講演でデモを行った。水彩や油絵のブラシによって引き起こされる現象を、「サイエンスのレベルから」再現しているという。
Adobe MAXの基調講演には、Appleのシニアバイスプレジデント、フィル・シラー氏が登場し、AdobeとAppleの協業は、iPad ProとApple Pencilが登場した当初から始まった。Photoshopは30年来のコードをiPadに完全移植し、Project Geminiは3年かけてブラシを科学的にシュミレーションしてきた。
iPadはタブレット市場が停滞・縮小トレンドが顕著になる中で、唯一成長を記録できている。2017年、2018年は廉価版のiPadを用意し、教育市場と企業導入に強いアピールを行った。
iPad向けのクリエイティブアプリの充実は、Appleがプログラミング教育の次に推し進める「クリエイティブ教育」(Everyone can create)の発展にも符合している。AppleとAdobeはMacの時代から歩調を合わせてきたが、ついにiPadもクリエイティブワークフローのメインストリームに押し上げる段階に入った。
Appleにとっては待ち望んだ瞬間であり、iPad第二の飛躍の契機となっていくだろう。
iPadにPhotoshop“完全版”がやってくる--2019年登場、イラスト特化の新アプリも(10/15) ロジクール、第6世代「iPad」専用スタイラス「Creyon」一般販売へ--価格は8800円(10/11)Appleは音楽認識アプリShazamの買収を行い、欧州で承認された。Siriと既に統合されていたが、ユーザーの楽曲検索の面、あるいは検索データの活用の面で、Apple Musicを強化する意味合いがあると見ることができる。
Apple MusicもBeats買収によって開始した音楽定額サービスだったが、その強化を目指し、Appleは音楽関連の企業の買収や提携を続けている。今週明らかになったのは、歌詞注釈サービスGeniusと提携し、Apple Music上の楽曲の歌詞表示を拡充する。
また音楽分析のスタートアップAsaiiの買収も明らかになった。これによってプレイリストの作成支援や音楽の推薦を行うだけでなく、ヒットするアーティストの発掘をアルゴリズムによって行えるようになるという。
歌詞注釈サイト「Genius」、「Apple Music」に歌詞を提供(10/12) アップル、音楽分析の新興企業Asaiiを買収--「Apple Music」強化か(10/16)AppleはDialog Semiconductorの知的財産や生産施設、従業員300人などを6億ドルで取得した。2007年発売の初代iPhoneからDialogの電源管理チップが用いられてきた。その一方、Dialogはその売上高の75%をAppleに依存していたが、Appleに関連する技術開発を行っていた従業員やノウハウをAppleに移転することになる。
スマートフォンにとってバッテリ持続時間はカメラとともに重要な価値となっており、Androidスマートフォンのバッテリ容量拡大と相反するように、Appleは独自開発のプロセッサの省電力化などによって、むしろバッテリ容量を減らしてきた。最新のiPhone XSは、同じボディデザインを採用するiPhone Xよりも少ないバッテリしか搭載されていないことがiFixitの分解で明らかになっている。
そうした重要な技術の自社開発とすることで、競争優位性をより高めながらコスト管理をしやすくすることを狙っていると考えられる。
アップル、電源管理チップ手がけるDialog Semiconductorの一部資産など取得で合意(10/12)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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